[2022_03_14_07]核施設を保有している以上、その国を敵視する 国から武力攻撃を受ける可能性が生じる 安全保障の第一歩は原発と核燃料の撤去 上岡直見〔環境経済研究所(技術士事務所)代表〕(たんぽぽ2022年3月14日)
 
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核施設を保有している以上、その国を敵視する 国から武力攻撃を受ける可能性が生じる 安全保障の第一歩は原発と核燃料の撤去 上岡直見〔環境経済研究所(技術士事務所)代表〕

◎ ロシアによるウクライナ国内の核施設への武力攻撃が強く非難されることは当然であるが、ロシアとしてはウクライナが核物質を軍事目的で使用することを防ぐため事前に制圧したと説明している。
 その真偽は現時点で不明だが、実は核施設への武力攻撃の始まりはイスラエルであったことを思い出すべきである。
 すなわち核施設を保有している以上、その国を敵視する国から武力攻撃を受ける可能性が生じることを意味する。
 「何をするかわからない国」はロシアだけではない。

◎ 1981年6月にイスラエル空軍がイラクの核施設を爆撃した。これには各国も衝撃を受け、日本では当時すでに20数基の原発が稼働していたが、外務省は原発に対する武力攻撃の被害シミュレーションの報告書を1984年に作成した。文書の冒頭では反原発運動に利用されることを警戒して部外秘扱いを求めている。
 ただし福島第一原発事故後には下記で公開されている。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000160057.pdf

◎ 報告では(1)補助電源喪失、(2)格納容器破壊、(3)原子炉本体破壊の3ケースを想定している。
 計算には多くの条件を設定する必要があり、周辺住民がいつ避難するかによっても推定が大きく異なるが最大ケースでは急性死亡18000人、急性障害41000人などの結果が示されている。
 また緊急避難してもそれまでの被ばくによる晩発性の障害で24000人が死亡と推定されている。

◎ 前述の報告書では、過酷事故があくまで「事故」であるならば、まだしも多重の安全系統(福島第一原発事故では機能しなかったが)が用意されているが、攻撃側にある程度の知識さえあれば、安全系統の機能と関係なしに放射性物質の大量放出を引き起こすことが可能だと指摘している。
 かりに強力な防衛部隊を配備して相手を撃退したとしても、交戦が発生すればその過程で原発への被害は避けられない。
 安全保障の第一歩は原発と核燃料の撤去しかない。
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