[2021_10_27_02]軽石は11月に四国・静岡・千葉などに接近か…原発冷却水の取水に影響する可能性も(読売新聞2021年10月27日)
 
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軽石は11月に四国・静岡・千葉などに接近か…原発冷却水の取水に影響する可能性も

 沖縄県などに大量の軽石が漂着している問題で、軽石は今後、黒潮にのって北上し、来月にも四国や本州の沿岸に接近する可能性があることが海洋研究開発機構の分析でわかった。 同機構の美山透・主任研究員(海洋物理学)が試算したところ、海底火山「福徳岡ノ場(ふくとくおかのば)」から噴出した軽石は、西向きの「黒潮反流」などに流されて沖縄に漂着した。今後はその一部が黒潮で北上し、11月上旬に四国の太平洋側に接近。黒潮の蛇行により紀伊半島沖で約500キロ・メートル離れるが、11月下旬にかけて静岡や千葉県などに再接近するという。1986年の噴火時には約5年後、神奈川県平塚市などで、軽石の漂着が確認された。
 また、産業技術総合研究所(産総研)と気象庁のチームは、今回の噴火を国内で陸海含め戦後最大規模だったと分析。煙の高さは成層圏に達する約16〜19キロ・メートルで、軽石や火山灰などの噴出量は少なくとも約1億立方メートル(東京ドーム約80杯分)と推定した。産総研の及川輝樹主任研究員(火山地質学)は「軽石はいずれ海中に沈むだろうが、時期はわからない」と述べ、長期の対策が必要だとした。

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 沖縄県は27日、緊急対策会議の初会合を開き、国の制度を活用して早急に軽石の撤去作業に入る方針を確認した。県内では約750隻の漁船がエンジントラブルへの懸念から漁に出られなくなっている。玉城デニー知事は「県をあげて横断的に取り組む必要がある。スピード感を持って対策に取り組みたい」と述べた。
 一方、原子力規制委員会は同日、原子力発電所の冷却水の取水に影響する可能性があるとして、今後の対応について検討を始めた。
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