[2021_09_26_01]関電、不祥事後絶たず コンプラ改革道険し 金品問題2年(産経新聞2021年9月26日)
 
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関電、不祥事後絶たず コンプラ改革道険し 金品問題2年

 関西電力を大きく揺るがした役員らによる金品受領問題は、27日で公表から2年がたつ。「内向きな企業体質」「コンプライアンス(法令順守)意識が欠落」−。旧経営陣に代わって登板した森本孝社長らは、外部有識者の監督を受けながら指弾された企業風土改革を進める。だが、この間にも不祥事は相次いで発覚しており、信頼回復への道のりは険しい。
 「風通しの良い会社になる手応えは感じている」。森本社長は22日の定例会見で改革の進捗(しんちょく)ぶりを強調した。昨年3月の第三者委員会による報告書公表以降、ハード、ソフトの両面で取り組みを進めてきたからだ。
 組織面では外部からの会長起用をはじめ、社外取締役の増員などで外の目≠入れ「内向きな企業体質」を牽制(けんせい)する仕組みをつくった。若手社員から「不正をしたのは役員」と糾弾された役員の意識改革は、弁護士や大学教授が加わるコンプライアンス委員会が主導する。
 目玉は役員が対象の「100時間研修」と呼ばれるプログラム。コンプライアンスについて学ぶ研修会だ。当初、膨大な時間を割くことに「現実的ではない」と一部の幹部は及び腰だったが、座学以外にリポート作成や議論を通じて実効性を高めている。委員長の中村直人弁護士は「自立的に取り組み、身に付いている」と手応えを話す。
 幹部と現場社員の意見交換もこれまでに約170回実施。1600人以上が参加した。
 改革姿勢のアピールで、金品問題の舞台となった福井県にある各自治体からの信頼回復も進む。懸案だった運転開始から40年を超える原発の再稼働にもこぎ着けた。
 ただ、社内外に不信感を募らせる不祥事は後を絶たない。
 4月には、企業向けの電力供給などを巡り、互いに顧客の獲得を制限するカルテルを結んだ疑惑で公正取引委員会の立ち入り検査を受けた。電力自由化の根幹を揺るがす重大な問題だ。
 また7月、複数の子会社社員が受検要件をごまかして国家資格を不正取得していたことが判明。9月には送電線周辺の樹木を伐採する際、地権者へ社内規定以上の補償費を支払っていたことも発覚した。担当者は聞き取りに対し「地権者ともめることなく早く処理をしたかった」と述べたといい、業務優先、ルール軽視の体質が残ることが明らかになった。
 中村弁護士は内部通報で明るみに出た事例があったとして、「ずっと出てこなかった問題が(内部から)出始めているのは、(社員が)是正への希望を持ち始めているからだ」と評価。その一方で、「まだ現場には古い体質が残り、組織を防衛しようとする発想がある」と課題を挙げる。
 社会から信用を取り戻すカギについては「重要なのは透明性。問題案件をすべて公表し、対策をとる方針を明確にすれば、信頼される会社になる」と強調した。(岡本祐大)
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