[2021_09_23_03]自民総裁選候補 核燃サイクル政策主張分かれる/河野氏「撤退」 岸田・高市氏「維持」(東奥日報2021年9月23日)
 
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自民総裁選候補 核燃サイクル政策主張分かれる/河野氏「撤退」 岸田・高市氏「維持」

 自民党総裁選で、使用済み核燃料を再処理して原発で再び利用する「核燃料サイクル政策」が争点化している。河野太郎行政改革担当相が持論のサイクル撤退に踏み込んだ一方、岸田文雄前政調会長と高市早苗前総務相は総裁選を通じて政策の維持に言及。青森県内の立地自治体にとって「死活問題」(県選出国会議員)の政策を巡り、河野氏と他の候補者で主張が分かれた。
 政府は使用済み核燃料を「資源」として、全量を再処理するサイクル政策を推進。県内には日本原燃・六ケ所再処理工場(六ケ所村)など主要なサイクル関連の施設が立地している。
 河野氏は、核兵器の材料になり得るプルトニウムを日本は既に約46.1トン抱え、使用済み核燃料を再処理して新たにプルトニウムを取り出す必要はない−と主張。再処理事業からの撤退に触れた。一方で岸田氏は、再処理せずに使用済み核燃料を直接処分すると、有害度が大幅に低減するまでに「10万年かかる」と指摘したほか、脱炭素化へ向けた政府目標や外交問題への影響にも言及した。
 高市氏はサイクル政策を「全く止めてしまうわけにはいかない」と述べ、維持する意向を示す。一方で東奥日報の取材にはサイクル政策に対する直接的な言及は避け、「国家プロジェクトとして小型モジュール炉の地下立地、新技術の国産核融合炉の技術開発を推進すべき」と書面で回答した。
 野田聖子幹事長代行にも取材を申し入れたが、事務所を通じ「(野田氏側の)状況都合により(取材を)お断りする」と答えた。
 各地の原発で保管容量が逼迫(ひっぱく)しつつある使用済み核燃料への対応について、河野氏は「再稼働すると早い時期にいっぱいになって原発が止まってしまう」と主張。再処理せずに直接処分するなど「現実的な処分方法をテーブルに載せて議論した方が良い」と訴える。
 対する岸田氏は、原発が稼働できない事態はサイクルを止めた場合に生じると主張。再処理工場という、使用済み核燃料の行き場を失うからだ。
 さらに党内には、再処理しない場合は六ケ所村に貯蔵中の使用済み核燃料を施設外に搬出する−とした覚書を踏まえ、「核燃料が青森から各原発に戻される」(ベテラン議員)との見方もある。
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