[2020_08_10_01]女川再稼働 宮城県住民説明会「なぜ今」参加低調(河北新報2020年8月10日)
 
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女川再稼働 宮城県住民説明会「なぜ今」参加低調

 東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働を巡り、県が原発30キロ圏内の住民らを対象に開いている説明会の参加者が、募集定員の3分の1と低調だ。新型コロナウイルスの影響が続く上に、お盆を挟んだ季節的な要因も重なった。住民の意見は村井嘉浩知事が「地元同意」の是非を判断する材料の一つ。再稼働に慎重な市民団体は「なぜ急いで開くのか」と疑問視する。
 石巻市河北総合センターで9日あった第4回説明会。重大事故時の原子炉格納容器の破損防止策、広域避難計画の実効性を巡り質疑応答が白熱したが、参加者は103人。定員400人の25.8%にとどまった。
 県は市内に加え、原発事故で段階的な避難が必要な緊急防護措置区域(UPZ)の登米市と涌谷町からの来場も見込んだが、申し込みは予想を大きく下回った。会場は400人収容できるアリーナを取りやめ、センター内にある200人の文化交流ホールに移した。
 県原子力安全対策課の担当者は「UPZ北部の住民が足を運びやすい場所を選んだ。もっと多くの人が来ると思ったが…」と首をかしげた。
 他の会場も軒並み定員割れしている。19日まで開く7カ所の状況は表の通り。定員に対する参加率は女川44.3%、牡鹿22.0%、石巻35.8%。9日の河北を含めた4回の平均は33.4%だった。
 説明会は事前申込制で、来場時には本人確認書類の提示が求められる。新型コロナで「3密」の回避が必須とはいえ、手続きの煩雑さが低参加率の要因と指摘する声がある。
 会場では途中退席も少なくない。石巻市のある女性は「お盆の時期で用事がある」と帰路を急いだ。同市の男性は「話が専門的で難しい」と釈明した。
 東北電は4月、女川原発の安全対策工事の完了時期を2020年度から22年度に延期すると発表した。同市の市民団体「女川原発の避難計画を考える会」の原伸雄代表は「県内もコロナの感染確認が続き、お盆の準備で忙しい。長い時間をかけて説明する機会を設けるべきだ」と訴える。
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