[2017_12_28_03]核ごみ説明会 新たに学生79人動員(東京新聞2017年12月28日)
 
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核ごみ説明会 新たに学生79人動員

 原発の高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場に関する住民向け意見交換会に、謝礼を持ち掛けて学生を動員していた問題で、原子力発電環境整備機構(NUMO)の調査チームは二十七日、調査報告書を発表した。今年六月までに開かれた意見交換会やセミナーで、計七十九人の学生が謝礼を示しての参加要請を受けていたことが新たに判明。少なくとも二人に現金五千円が支払われていた。
 この問題を受け、NUMOは当面、意見交換会を中止し、どのような運営方法がいいか検討した上で再開時期を決める。
 学生への参加要請が明らかになったのは、二〇一六年七〜十月のセミナーで十六人▽一六年十〜十一月の意見交換会で三十四人▽今年五〜六月のシンポジウムで二十九人−の計七十九人。うち何人が実際に参加したかは分からない。
 ただ一六年十一月に名古屋市と札幌市で開かれた意見交換会で、少なくとも一人ずつに五千円の支払いが確認された。現金の代わりに、会議室提供などの便宜が図られた例もあった。
 いずれも、事業を受注した電通から広報業務を再委託された会社が、現場の判断で行っていたという。調査報告書は、NUMOや電通がこうした実態を認識していた証拠は見つからなかったとしている。
 一連の問題は、今年十一月六日にさいたま市で開かれた意見交換会で、参加した学生が謝礼を持ち掛けられたと発言したことから発覚した。その後のNUMOの内部調査で、福島県を除く四十六都道府県で十月以降に開かれた意見交換会で学生計三十九人の動員が分かった。謝礼を約束されていたが問題が発覚したため支払われなかったという。
 今回の調査では、十〜十二月の意見交換会に、電力会社の関係者ら計六十七人が参加していたことも分かった。各電力会社からNUMOへの出向者が、出向元の知人らに参加を求めるメールを送っていたケースがあった。最終処分を推進する立場からの発言は確認できなかったという。

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