[2017_12_28_04]新潟・柏崎刈羽原発 基準適合 再稼働、割れる地元 県は慎重、市と村は前向き(毎日新聞2017年12月28日)
 
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新潟・柏崎刈羽原発 基準適合 再稼働、割れる地元 県は慎重、市と村は前向き

 東京電力柏崎刈羽原発6、7号機が原子力規制委員会の新規制基準に適合した。しかし地元自治体の同意を巡っては、米山隆一・新潟県知事が再稼働に慎重な姿勢を崩していない。一方、原発が立地する柏崎市、刈羽村の両首長は再稼働に前向きで、地元自治体の姿勢は割れている。【柳沢亮、岡田英、内藤陽】
 米山知事は27日、県庁を訪れた東電新潟本社の橘田昌哉代表と面会した。米山知事は「規制委の判断に異を唱えるわけではないが、(県が独自に進める)『三つの検証』が進まない限り再稼働の議論を始めないことに変わりはない」とくぎを刺し、「検証作業にいささかの影響も受けない」と突き放した。
 米山知事は従来、福島第1原発事故の原因▽健康や生活への影響▽安全な避難方法−−についての検証作業が終わらない限り再稼働協議に応じない方針で、作業に3、4年かかるとしている。米山知事は橘田代表に対し、規制委の審査内容も県が独自に精査する方針を伝えた。
 柏崎市の桜井雅浩市長、刈羽村の品田宏夫村長も同日、柏崎刈羽原発の設楽親所長からそれぞれ結果報告を受けた。2人ともこれまでの東電の対応を評価したうえで、桜井市長は「市民の安心を得るよう努力してほしい」、品田村長は「適切な情報提供を心がけてほしい」と話した。
 一方、再稼働が遅れた場合、国から立地自治体の県や柏崎市、刈羽村に支払われている交付金が減額される可能性がある。
 経済産業省は、停止している原発でも一定程度稼働しているとみなして交付金額を算定している。しかし、国は昨年4月、電源立地地域対策交付金の交付規則を改正。再稼働に必要な規制委の全ての審査が終了後、9カ月たっても再稼働しない場合には「稼働ゼロ」とみなし、交付金を減額するとした。
 規制委の審査は、今回6、7号機が決定を受けた新規制基準への適合性審査のほか、設備の詳細設計を定めた「工事計画」、事故時の体制などを記した「保安規定」の二つがある。これまで再稼働した3原発は、いずれも全審査終了後、9カ月以内に地元同意を得て再稼働している。
 6、7号機は、残る二つの審査に1年以内に合格する可能性があるが、地元同意に数年かかれば、早ければ2020年度の交付金から減額される。その場合の減額は各自治体の試算によれば刈羽村で約4億円、柏崎市で約1億円。県は約7億4000万円と見積もっている。

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