[2017_12_28_02]意見募集「東電に資格ない」 柏崎刈羽「適合」決定 再稼働は見通せず(東京新聞2017年12月28日)
 
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意見募集「東電に資格ない」 柏崎刈羽「適合」決定 再稼働は見通せず

 原子力規制委員会は二十七日の定例会合で、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)が、原発の新規制基準に「適合」するとした審査書を正式決定した。意見募集(パブリックコメント)では八百七十件が集まり、福島事故を起こした東電に「原発の運転資格はない」とする意見が多かった。だが、規制委は字句を修正しただけで、審査を通した。(小川慎一)
 東電の原発としても、福島第一と同じ仕組みの沸騰水型としても、初の新基準適合。東電は賠償費用を工面するため再稼働を目指すが、立地する新潟県などが同意する見通しはない。
 寄せられた意見には、福島第一原発の事故収束作業や巨額の損害賠償を抱えている東電に、再び原発を動かす権利を与えることへの否定的な意見が目立った。だが、規制委が示した「考え方」は、いずれの意見に対しても正面から向き合わない内容だった。
 審査全般について、「通常より丁寧に調査した」と強調。規制委は「福島事故の収束をやり遂げ、柏崎刈羽を安全第一で運営する」との内容を、柏崎刈羽の保安規定に盛り込ませることで、東電に運転資格ありと判断した。これに対し、新たな重大事故が起きれば東電の存続が危うく、東電の社内文書である保安規定は意味がなくなるとの意見が寄せられたが、規制委は取り合わなかった。
 柏崎刈羽で新たな事故が起きても、東電には賠償能力がない点を問題視する意見もあったが、規制委は直接的には答えなかった。新基準向けの工事費を工面できることや、「原子力損害賠償制度がある」と一般論を書いただけで、東電全体の経営状況やほとんど備えがない賠償制度の現状には触れなかった。
 この日記者会見した規制委の更田(ふけた)豊志委員長は「事故当事者の東電に、厳しい批判があるのは当然。規制委としてもそういう思いは持っている。できるだけのことはやった」と述べた。

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