[2017_05_11_03]山林火災と被ばく問題(疲労困憊したおじさんのブログ2017年5月11日)
 
参照元
山林火災と被ばく問題

今日、5月11日の東京新聞「こちら特報部」には次の見出しが躍った。

「福島の山林火災やっと鎮火 帰還困難区域除染手つかず 『放射性物質の飛散心配』 ダスト測定数値上昇 『県の安全強調は拙速』」

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 内容は先月29日から続いていた福島県浪江町の浪江、双葉両町にまたがる十万山の国有林で出火した森林火災であるが、この火災そのものは、昨日(10日)の午後、鎮火したと浪江、双葉両町の合同災害対策本部の会議で宣言された。
 しかし、火災が帰還困難区域であることから消化活動も困難を極めインターネット上では放射線・放射能に関する様々な情報が飛び交ったのも事実である。
 あるいは和歌山県の夕刊紙「紀伊民報」がホームページのコラムで東電元社員の情報を基に「火災が起きれば花粉が飛ぶように放射性物質が飛散する」「東北、関東、北信越、静岡、愛知の人は最低限、次のような自己防衛の対策がオススメ」と報じ、「デマを流すな」などの電話やメールが殺到し、この事により「紀伊民報」は「いたずらに不安を煽るなと批判を頂いた」と陳謝した。
 一方、福島県はホームページ上で「現在、周辺環境に影響が及んでいる事実は一切ありません。」と見解を公表している。ところが、九日になって「風向き」が変わり県は一日からダストの測定を四ヶ所のポストのうち三ヶ所で始めたが、八日昼、山頂から南東に三、五キロ離れた双葉町の公民館(石熊公民館)でセシウム137を一立方bあたり七・六三_ベクレルを検出し、これまでの最大値の四倍近くになった。(下・画像参照)

 福島県はダストの測定結果を受けて「落ち葉の堆積層への火の浸透に加え、強い風が終日観測されていることから測定地点の土ぼこり、や焼却灰の舞い上がりの影響も否定できない」と分析。これは従来の見解とは矛盾する表現ではなかろうか・・。
 こちら特報部の記事によれば「十万山近くの山林を所有する大熊町議の木旗ますみさんは普段から浪江町などの空間放射線量を測って『火災後に町中心部で測ったら毎時0・五マイクロシーベルトで火災前の二倍以上だった。火事で放射性物質が飛散していることは数値が示している・・。』」さらに京大教授の山敷庸亮氏は「半減期が三十年と長いセシウム137など、今残っている核種は中長期寿命のものが中心で、ストロンチウム90のように線量率には表れないものもある。経口被ばくと吸入被ばくは異なり肺に取り込むと影響が長期的になる恐れがある。線量率や大気中の総ベクレル数が低いため『影響がない』という言葉で覆ってしまうと『安全への備えが不十分になると』危惧する」と指摘されている・・。
 そして、福島取材を六年続けているネットメディア「民の声新聞」発行人の鈴木博喜氏は次のように訴えている・・「この国は北朝鮮のミサイルには騒ぐのに、放射性物質となると、途端に『大丈夫』『影響はない』と言って、不安をつぶしていく。なぜ3・11の教訓が生かされないのか」
 さて、福島事故(事件)から六年以上の歳月が流れた今、これを読まれたあなたはどのように思いますか・・

2017/5/11弓場清孝

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