[2011_07_04_02]止めてなお残る危険 東海地震の震源域中央 使用済み 地震大国(福井新聞2011年7月4日)
 浜岡原発は将来予想される東海地震の想定震源域のほぼ中央に立地し「世界一危険な原発」と呼ばれてきた。中部電力は安全性を張調するが、政府が「特別なケース」として全面停止を要請したため、あらためて問題点が浮き彫りとなった。
 東海地震は駿河湾西部から遠州灘東部の海溝を震源域とし、100〜150年の周期で発生するマグニチュード(M)8以上、震度6強の大型地震。安政東海地震(1854年)から150年以上経過し、いつ起きてもおかしくない状態。直下型のため、沖合が震源だった東日本大震災より被害規模が大きく、津波が数分程度で襲来し避難も難しいとされる。

 ■■使用済み

 「浜岡原発の危険性は格段に高い」。元地震予知連絡会長の茂木清夫東大名誉教授が話す。文部科学省地震調査研究推進本部によると、30年以内に東海地震が発生する被災確率は87%と突出している。福島第1原発でさえ0・0〜0・8%だ。
 首都圏から西に約200キロ。十数キロ以北には日本の大動脈、東海道新幹線や東名高速道路が横断し、細野豪志原発事故担当相は「万一、浜岡で大きな事象が発生すると、日本経済会体に甚大な影響が出る」と強調する。
 「核燃料がある限り、原発は安全でない」。原子力資料情報室アドバイザーで、浜岡の設計に携わった後藤政志さんが指摘する。
 浜岡1、2号機は既に運転を終え、プールに使用済みの燃料集合体約千体を保管。定期検査中の3号機に加え、政府要請で停止した4、5号機の原子炉とプールにも計約8000体が入ったまま。
 4、5号機は安定的な冷温停止の状態だが、燃料は核分裂が止まっても崩壊熱を出すため、冷却を継続しなけれぼ危険な状態に陥る。福島第1原発では定期検査で停止中だった4号機で、水素爆発が起きたとされる。

 ■■地震大国

 遠州灘に面した原子炉建屋。海側に隣接する取水槽と幅60〜80メートルの砂丘の間に、中部電は2013年度までに高さ15メートルの防潮堤を建設する。電源喪失を想定し非常用の発電装置も高台に設置、国の安全評価を受けて運転再開を目指す。水素が建屋内にたまって爆発する事故を防ぐため、各建屋の屋根に2カ所、0・6メートル四方の穴を開ける。
 こうした対策にも「廃炉以外に安全策はない」と指摘する専門家もいる。茂木教授は「地震大国の日本で原発を有力なエネルギー源とするのは間違い。エネルギー政策を根本から見直すべきだ」と力説する。
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