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免震重要棟が使えない?

朝日新聞(2/21付け)に『柏崎刈羽の免震棟利用、東電が撤回 耐震性の確保困難』という記事があった。

 東京電力は21日、柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)に設置した免震重要棟を、重大事故時の対策拠点として使うことを取り下げる方針を原子力規制委員会に伝えた。耐震性の確保が難しいためという。
 東電は21日、規制委の審査会合で、「免震棟では新規制基準を満たさないと判断した」などとして、重大事故時の対策拠点「緊急時対策所」とする方針を撤回した。これまでは、免震棟と、再稼働の審査を申請していない5号機の原子炉建屋に置く耐震の対策所を使い分ける方針だった。今後は耐震の対策所に集約する。
 東電はこの日、免震棟を何らかの設備として使いたいと提案をしたが、規制委は「地震に耐えられるか説明できていない。重大事故で使うことは許されない」と否定した。

 これは基準地震動なるもののレベルが引き上げられた結果、免震重要棟が基準地震動の揺れに対して機能を発揮できないということが判明したただと思われる。当初、免震重要棟を設計したときには、当時の基準地震動に対して機能を発揮するように設計されていたはず。基準地震動の大きさのことは何も触れず、免震棟は使えなくなった、基準に適合しなくなったというのは、大きな誤解を招くのではないか。
 もう少し丁寧な説明をしてもらいたいものだ。

ところで、東電の「気になる原子力発電」では、柏崎刈羽原子力発電所と思われる免震重要棟の説明がある。説明文には『建物の地下には、積層ゴムなどの免震装置を備えていて、震度7クラスの揺れを3分の1から4分の1程度に低減します』とある。

積層ゴムの写真も紹介されている。
また免震重要棟の免震層も紹介されている。

あれっ、積層ゴムの形状がずいぶん違う・・・
これはすべり支承なのだろうか・・・

 「震度7クラス」はどういう地震動レベルを意味しているのか。地震動の大きさのことも含めて説明することが必要ではないだろうか。原子力施設の設計では、もはや「震度7クラス」という表現は意味をなさないのではないだろうか。原子力施設の安全性を説明するにあたり、もう少し地に足が付いた等身大の姿で、本音で発信してもらいたいものだ。

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