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原子力規制委 SPEEDI緊急時の活用 否定的見解


政府の原子力関係閣僚会議が今月11日、原発事故の際、放射性物質の拡散を予測するSPEEDIなどのシステムを自治体がみずからの責任で活用できるとしたことについて、原子力規制委員会は、緊急時の予測は信頼性がないとして、改めて緊急時の活用に否定的な見解を文書にまとめました。
原発事故の際に放射性物質の拡散を予測するSPEEDIなどのシステムを巡って、原子力規制委員会はおととし、「不確かで、被ばくのリスクを高めるおそれがある」として、避難範囲の決定には使わず、実際の放射線量などに基づいて判断する方針を決めています。
これに対し、全国知事会はSPEEDIの活用を求めていて、これを受けて、政府の原子力関係閣僚会議は今月11日、自治体がみずからの責任で参考情報として、避難先の決定などに活用できるとする考え方をまとめました。
これについて、16日、規制委員会は、緊急時の放射性物質の拡散予測は放出時期を予測できないことなどから信頼性がなく、拡散する方向を示すことで、かえって避難を混乱させ、被ばくの危険性を増大させるとして、緊急時の避難判断にSPEEDIを使うことに改めて否定的な見解を文書にまとめました。
SPEEDIを巡っては、鹿児島県などすでに活用しない方針を示している自治体がある一方、原子力関係閣僚会議と規制委員会とで異なる考えが示されたことで、困惑を表明している自治体もあります。
実際の緊急時に自治体が拡散予測をもとに独自に避難の判断をする場合、混乱が生じるおそれもあり、今後、政府内や自治体との間で実際の運用を巡ってどのような調整が行われるかが課題になります。

田中委員長「住民が大混乱起こすおそれ」
原発事故の際に放射性物質の拡散を予測するSPEEDIなどのシステムを巡って、政府の原子力関係閣僚会議が、自治体がみずからの責任で避難先の決定などに活用できるとする考え方をまとめたことについて、規制委員会の田中俊一委員長は会見で、「いちばんの問題は、私が放射線量のデータや原子炉の状況から避難の要否を判断して総理大臣に進言するが、それとは別に自治体が拡散予測に基づく避難の判断を行った場合、住民が大混乱を起こすおそれがあることだと思う」と懸念を示しました。
そのうえで、「拡散予測でどうしてもやるというなら、あとで『間違っていました』ということはあってはならないことで、そこまで責任を持ってやるなら、それはそれでしかたない」と述べました。
原子力関係閣僚会議と規制委員会とで異なる考え方が示されている状況については、「本来は住民から見たら訳が分からなくて、よいことではないと思う。だからといってわれわれの考えを変えるわけにはいかない」と述べ、緊急時の避難の判断には拡散予測のデータは使わず、実際の放射線量の測定データを使う方針に変わりはないという考えを示しました。

資源エネルギー庁「理解得られるよう調整したい」
原発事故の際、放射性物質の拡散を予測する「SPEEDI」などのシステムを巡り、原子力規制委員会が、緊急時の活用に否定的な見解を文書にまとめたことについて、政府の原子力関係閣僚会議の考え方の取りまとめにあたった資源資源エネルギー庁は、「規制委員会が避難の判断にSPEEDIなどのシステムを使わないことは前提になっていると考えている。今後は自治体や住民が混乱しないよう政府として避難を判断する方法について総合的に理解を得られるよう調整を行っていきたい」としています。

滋賀県「方向性分からず困惑」
多くの原発が立地する福井県に隣接する滋賀県には、3年前、「SPEEDI」の予測結果を受信する端末が3か所に整備され、運用が始まりました。しかし、原子力規制委員会がおととし、「予測結果が不確かだ」として住民の避難の判断には使わないことを決めたのを受けて、滋賀県は去年、端末を撤去しました。
「SPEEDI」などの活用を巡り原子力関係閣僚会議と規制委員会で異なる考えが示されたことについて、滋賀県原子力防災室は、「明確な方向性が分からず困惑している。政府は今後、実務的に活用できる統一的な指針をしっかりと示してほしい」と話しています。

新潟県知事「住民の理解得られるか疑問」
原発事故の際、放射性物質の拡散を予測する「SPEEDI」などのシステムに対する原子力規制委員会の見解について、全国知事会の防災特別委員長として活用を求めてきた新潟県の泉田知事は「従前どおりの見解で、住民の理解が得られるか疑問だ。規制委員会には地方行政や災害対応について地方の声を真摯(しんし)に受け止め、現場が分かる体制を作っていただき、自治体の実情を踏まえた対応をお願いしたい」とコメントしています。

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