[2018_09_06_39]福島第一原発のトリチウム水 「保管長引けば廃炉影響」(東京新聞2018年9月6日)
 
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福島第一原発のトリチウム水 「保管長引けば廃炉影響」

 東京電力福島第一原発で貯蔵中の放射性物質トリチウムを含む水の処分を巡り、海などに放出せずタンクで長期保管する提案が相次いでいることに対し、原子力規制委員会の更田豊志(ふけたとよし)委員長は五日の定例会見で「保管が長引けば長引くほど廃炉に影響が出る」と否定的な考えを示した。
 海洋放出には地元漁協などから強い懸念が出ているが、更田氏はこれまで「現実的な唯一の選択肢」と主張してきた。この日も「現実的な議論を期待する」と述べ、あらためて政府や東電に決断を促した。
 トリチウム水の貯蔵量は九十三万トンに上り、今後も年に五万トン以上のペースで増える見込み。経済産業省の有識者会議は海や大気中などに放出する五つの案を議論してきたが、先月末に福島県など三カ所で開いた公聴会では、現行や新設のタンクで長期保管するよう求める意見が多く出た。会議の山本一良(いちろう)委員長(名古屋学芸大副学長)は、今後はタンク保管の選択肢も加える意向を示している。
 公聴会では、トリチウム水の人体への影響がほとんどないとされていることにも「一部は細胞に取り込まれ遺伝子を破壊する」などと批判が相次いだ。更田氏は「極端な議論は人を不幸にする。苦渋の決断をしなければ前に進めない」と反論した。 (宮尾幹成)

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