[2018_09_06_40]住民不安に対応必要 トリチウム水(福島民報2018年9月6日)
 
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住民不安に対応必要 トリチウム

 東京電力福島第一原発で発生する汚染水を浄化した後に残る放射性物質トリチウムを含んだ水の処分を巡り、日本原子力学会など三十六の学会・協会でつくる福島復興・廃炉推進に貢献する学協会連絡会は五日、「安全性などの科学的な知見を丁寧に説明し、風評を懸念する住民の不安に応える必要がある」との見解を発表した。日本原子力学会の駒野康男会長はトリチウム水を含む原発事故の課題解決に向け、客観的な事実発信に努める意向を強調した。
 連絡会は岡山市の岡山大で開幕した日本原子力学会の秋の大会で会合を開き、会員がトリチウム水の処分などをテーマに議論した。
 トリチウム水に関する発表を担った宮原要氏(日本原子力学会、日本原子力研究開発機構福島環境安全センター長)は「トリチウム濃度の規制基準を満たせば安全を確保できる」と科学的観点から海洋放出は可能だと指摘した。一方、社会的観点から風評被害を考慮する必要性に触れ、「自然界で生成されるトリチウムの量、他の原発の海への放出量などの知見を住民に分かりやすく説明すべき」と結論づけた。トリチウム水処分に関する意思決定において、国民から信頼を得られる仕組みづくりの重要性も訴えた。
 会合ではトリチウム水の他、放射線による健康影響や溶融核燃料(デブリ)の取り出しなど原発事故に関する諸課題についても意見を交わした。駒野会長は「事実に勝るものはない。それぞれの分野で客観的な事実をしっかりと発信したい」と総括した。
( 2018/09/06 07:48 カテゴリー:主要 )

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