【記事52890】東海第2原発 6市村へ新安全協定案 原電(茨城新聞2017年3月25日)
 
参照元
東海第2原発 6市村へ新安全協定案 原電

 日本原子力発電(原電)東海第2原発(東海村白方)に関わる原子力安全協定の見直しを巡り、原電は24日、東海村と同等の権限を周辺5市にも与えるよう求めてきた「原子力所在地域首長懇談会」(座長・山田修東海村長)に対し、現行協定とは別の「新安全協定」案を示した。同案は、原電が再稼働や原則40年の運転期間を延長する際、6市村に事前に説明し、首長側は「合意形成を図るための協議会」を開催できる権限を得る内容。
 原電の村松衛社長は同日、東海村を訪れ、山田村長と小川春樹日立市長、本間源基ひたちなか市長、海野徹那珂市長、高橋靖水戸市長、宮田達夫常陸太田市副市長と面会。直接、新たな協定案を手渡した。
 原電が示した「新安全協定」案によると、東海第2の再稼働や延長運転しようとする際、原電は事前に6市村に丁寧に説明し、6市村は原電に対して意見を述べることができるとしている。
 その上で、6市村は施設の安全確保のために必要があれば、「合意形成を図るための協議会」の開催を原電に求めることができ、原電はこれに応じる義務を負う。また、6市村は原電に対し、安全確保に必要な特別な対策を求めることができる。既存の安全協定も一部見直すという。
 村松社長は、今回の内容を「全く新しい発想での提案」と強調した。合意形成を目的とした協議会については、6市村から要求された対策に対応する義務を負う点に触れ、現行協定が定める事前了解の権限と比較して、「実質的に同じ重みを持つ」との認識を示した。
 会合終了後、山田村長は原電側の提案について一定の評価を示したものの、合意形成を図るための協議会に関しては「6市村が得る権限として、まだあいまいな部分が残る」と指摘。原則40年の運転期間の延長申請の期限を迎える今夏までに詳細を検討する意向を示した。
 現行協定で再稼働に関わる事前了解の権限を持つのは、県と東海村に限られている。このため各首長は、被害が広範囲に及んだ東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえ、「村と同等の権限」を要求し、2014年3月に原電と覚書を結ぶなど、協定の見直しを求めてきた。
 原電は今回初めて具体案を示し、首長側も一定の理解を示したことで、膠着(こうちゃく)状態が続いていた安全協定見直しの議論は今後、一気に加速する可能性が出てきた。 (戸島大樹)

■現行協定
(新増設などに対する事前了解)
・原電が、原子力施設や関連施設を新設・増設しようとするときは、事前に県と東海村の了解を得る。県は、必要があれば村隣接4市に意見を求める。

■新協定案
(再稼働や延長運転する際、原電は6市村に対し…)
・事前説明と意見交換をすること。
・「合意形成を図るための協議会」の開催の求めに応じなければならない。
・協議会での議論の結果、6市村が求める対策に誠意を持って適切に対応しなければならない。

KEY_WORD:TOUKAI_GEN2_: