【記事55370】東海第二防潮堤「液状化前提で設計を」 原電社長に規制委が要求(東京新聞2017年6月28日)
 
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東海第二防潮堤「液状化前提で設計を」 原電社長に規制委が要求

 原子力規制委員会は二十七日、日本原子力発電(原電)の村松衛社長に初めて出席を求め、臨時会議を東京都内で開いた。原電が、東海村の東海第二原発に建設する防潮堤の設計変更を申請していることに対し、規制委の更田豊志委員長代理は、東海第二原発が今秋、延長運転の申請期間に入ることを踏まえ、「液状化対策の是非を議論している時間はない」と主張し、地震による液状化の発生を前提に設計するよう求めた。 (越田普之)
 原電は今年四月、新規制基準の適合審査中の東海第二原発で、津波対策として建設する防潮堤について、地盤調査の結果やほかのプラントの審査内容を理由に、規制委に設計変更を申請した。原電によると、防潮堤の海側から北側にかけ、地下四十メートルの深さまで鋼管くいを打ち込み、途中にある粘土層との摩擦によって、くいの支持力を確保するとしている。
 規制委は、粘土層の下にある砂の層を問題視。砂が液状化することで、粘土層に打ち込んだくいの安全性にも影響が及ぶ可能性を指摘した。その上で、審査のスピードアップのためにも、当初の計画通り液状化対策として地盤改良の実行を指示した。
 更田委員長代理は「こういったことを議論していては(審査に)一、二年余計にかかるというのがこちらの認識。このまま議論を続けるのも事業者の選択だが、それなら他プラントの審査へ展開せざるを得ない」と話し、二十九日に予定されている審査会合までに、規制委側の指摘を設計に反映するよう迫った。
 原電の村松社長は「トップとして重く受け止める。(営業運転開始から)四十年という期限は十分認識している」と答えた。
 会議終了後、取材に応じた村松社長は「まずは説明をさせていただく」と述べるにとどめ、地盤改良について明言を避けた。

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