【記事65200】東海第二の広域避難計画案 不安、疑問 訴え相次ぐ(東京新聞2018年1月18日)
 
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東海第二の広域避難計画案 不安、疑問 訴え相次ぐ

 東海村の日本原子力発電(原電)東海第二原発で放射能漏れの事故が起きたときに備えた避難計画案について、日立市は住民向けの説明会を開始した。市は住民の意見を反映させ、年度内に計画の策定を目指す。案では全市民約十八万三千人が、福島県に避難する。だが、住民からは「知らない道を走るのは怖い」など不安の声があがった。 (山下葉月)
 市は、市南部の一部が原発から五キロ圏の予防防護措置区域(PAZ)にかかり、それ以外の地域も原発から約三十キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)に入る。三十キロ圏の自治体には広域避難計画の策定が義務付けられている。
 計画案によると、住民は二十三の地区ごとに移動。マイカーでの避難が基本で、常磐自動車道などを使い福島県内の十七市町村へ向かう。最初に目指す避難中継所を経て、公民館などの避難先に向かう。
 初回の説明会が十六日夜、PAZ内にある市久慈交流センターで開かれ、約六十人が参加した。
 質疑で、高齢の女性は「知らない道を運転するのが怖い。途中でガソリン不足になったらどうしたらいいのか」と不安を口にした。別の男性は「風向きを考え、別の避難場所も確保すべきだ」と訴えた。
 説明会に参加した地元の住民団体役員の阿久津邦雄さん(69)は昨年八月、仲間とともにバスに乗り、避難先を見学したという。有事でなくても時間がかかったため「高速が使えなくなったらどうなるのか」と疑問視する。
 また、東京電力福島第一原発事故が収束しておらず、福島県内にはいまだに生活再建ができていない避難者がいることに触れ、「福島への避難は現実的ではないのでは」と話した。
 説明会は来月二十二日まで全二十三地区で開く。

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