【記事76870】原電、再稼働意思答えず 6市村 対策工事前、説明求める(東京新聞2018年11月11日)
 
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原電、再稼働意思答えず 6市村 対策工事前、説明求める

 首都圏唯一の原発で東海村に立地する日本原子力発電(原電)東海第二原発を巡り、水戸市など三十キロ圏の六市村の首長と原電が村内で会合を開いた。六市村側は、原電に再稼働する意思があるかを確認したが、原電は答えなかった。六市村は、事故対策工事が始まる前に意思を説明するよう求めた。 (山下葉月)
 会合は九日夜にあり、山田修村長や高橋靖・水戸市長ら六市村長と、原電の剱田(けんだ)裕史・東海事業本部長が出席した。原子力規制委員会が七日に最長二十年の運転延長を認めてから、原電と六市村の会合は初めて。
 再稼働に必要な規制委の主要な審査がすべて終わったことから、六市村が原電の意向を確認する必要があると判断した。原電はこれまで、再稼働方針を明言せず、原発施設の安全性を向上させるために審査を受けると説明していた。
 山田村長によると、複数の首長が再稼働の意思を問いただしたが、原電は回答しなかった。山田村長は「対策工事がなし崩しに始まるのは見逃せない。工事が始まる前に意思表明をすべきだ」と述べ、原電に伝えたことを明らかにした。
 剱田本部長は「今は、規制委の許認可の結果を対策工事に反映させる検討をしている段階。その先について申し上げる段階でない」と述べるにとどめた。
 ただ、再稼働の見通しは立っていない。対策工事は順調にいっても二〇二一年三月末までかかる。その上、県と三十キロ圏の六市村の同意が必要になる。原発立地三十キロ圏には全国最多の九十六万人が暮らし、自治体が、事故時に備える実効性ある避難計画が作れるかも分からない。

◆「再稼働反対の人応援」那珂市長引退の意向

 引退を表明した那珂市の海野徹市長(69)=写真=は十日、本紙の取材に「東海第二の再稼働に反対し、責任を果たしたかった。この決断は次の選挙の結果がどうあれ、影響を与えるはず」と強調。後継は指名せず、「東海第二の再稼働に反対する人がいれば応援したい」と話した。
 市は周辺の五市村とともに原電と協定を結び、再稼働の事前同意の対象。海野市長は六市村で初めて、再稼働反対を表明していた。
 市長選は来年二月三日投開票予定で、一部の市議から支援する声もあったが、強固な後援会組織がないため、断念したとみられる。選挙戦には、県議の先崎光さん(60)が出馬を表明。東海第二の再稼働の是非について態度を明らかにしていない。原電は対策工事を二〇二一年三月に終えたいとしており、次期市長は任期中に是非の判断を求められる可能性がある。 (山下葉月)

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