【記事88740】告訴団「被害に向き合っていない」と不満あらわ 東電旧経営陣に無罪判決(河北新報2019年9月20日)
 
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告訴団「被害に向き合っていない」と不満あらわ 東電旧経営陣に無罪判決

 「福島県民は納得できない」「原発を動かすのに高度な安全性は要らないのか」
 東電旧経営陣3人をいずれも無罪とした19日の東京地裁判決を受け、被害者代理人や福島原発告訴団は不満をあらわにした。
 「司法の歴史に汚点を残す判決だ」。被害者代理人の海渡雄一弁護士は記者会見で語気を強め、控訴を求める考えを示した。判決が国の地震発生予測「長期評価」の信頼性を認めず、大津波の予見可能性を否定した点を「多くの学者や技術者らが法廷で語った内容と大きく異なり、信用できない判断だ」と非難した。
 原発事故を招いた刑事責任が問われた初の裁判。3人が強制起訴され、公判が開かれた意義について海渡弁護士は「(安全対策の見送りを示唆する)東電内部の会議録や幹部のメールなど、闇に葬られていたはずの証拠を社会に示すことができた」と評価した。
 同席した武藤類子告訴団長(66)=福島県三春町=は「福島の被害に真摯(しんし)に向き合っていない」と強調。「こんなに証拠や証言を尽くしても、有罪にならないなんて…。事故の反省を社会が生かすことを阻む判決だ」と涙ながらに訴えた。
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