[2022_05_31_05]北海道・泊原発1〜3号機の運転差し止め命じる 札幌地裁判決(毎日新聞2022年5月31日)
 
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北海道・泊原発1〜3号機の運転差し止め命じる 札幌地裁判決

 北海道電力泊原発(北海道泊村)の安全性に問題があるとして、道内外の約1200人が北電に1〜3号機全ての運転差し止めなどを求めた訴訟の判決で、札幌地裁(谷口哲也裁判長)は31日、北電側に1〜3号機の運転差し止めを命じた。2011年3月の東日本大震災発生以降、判決で原発の運転差し止め命令が出たのは3例目。
 判決は「(泊原発は)現在設置されている防潮堤について、地盤の液状化のおそれがないことを北電側が説明できておらず、津波に対する安全性を欠いている」と指摘。事故が発生した場合、原告のうち、原発から半径30キロの範囲内に居住する44人に人格権侵害のおそれがあると認定した。
 泊原発は札幌市から直線距離で西へ約70キロに位置する。今回の訴訟は、東日本大震災を受け、原告側が同年11月に提訴。提訴時に稼働していた3炉は12年5月までにいずれも運転を停止し、新規制基準施行後の13年7月、北電が再稼働を国に申請した。
 現在も3炉は運転を停止中。再稼働に向けた原子力規制委による審査の長期化や、新型コロナウイルスの影響を受け、今回の判決は提訴から約11年での判断となった。
 訴訟の主な争点は、地震の要因となり得る活断層が原発敷地内や立地する積丹半島北西沖の海底にあるか▽防潮堤などの津波対策の安全性▽使用済み核燃料の危険性――など。
 活断層を巡り、原告側は有識者の論文などから敷地内や近くの海底に存在すると主張。北電側は敷地内における存在を否定し、海底についても存在する可能性は小さく、仮に存在しても現在の耐震設計で対応できると反論していた。防潮堤に関しては原告側が「地震発生時に液状化して機能しない」と指摘した一方、北電側は試験結果を踏まえて液状化することはないと主張した。訴訟は1月18日に結審していた。【谷口拓未】
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