[2013_02_21_01]泊原発への影響は Q&A 年内再稼働 不透明なまま(北海道新聞2013年2月21日)
 Q 原発の新安全基準骨子がまとまったけど、北海道電力泊原発(後志管内泊村)への影響は。
 A 2009年に運転を開始した国内最新の泊3号機ですら、新たな安全対策が必要となる厳しい内容だ。まず、泊は敷地内にある3本の断層が問題となる。新基準に照らした場合、活断層の可能性を否定できないからだ。新基準は活断層と判断する年代を広げ「40万年前以降に活動したもの」と厳格化した。泊の場合、20万年前以降の活動がないことは確認できているが、78万〜20万年前の地層に変形があり、詳しい年代は分かっていない。クロではないがグレーの状態だ。
 Q 当面、どんな対応が必要なの。
 A 規制委が問題視した場合、安全性を証明するため大規模な試掘溝調査による年代特定が必要になる。このほか、泊沖合の海域には未知の活断層が存在するとの指摘があるため、北電の調査結果によっては耐震性の再評価が必要になる。
 Q 発電施設自体の対策は。
 A 求められる設備の代表例がフィルター付きベントだ。原子炉を冷却できずに格納容器内が高温・高圧となったとき、放射性物質を除去しながら排気し、容器の破損を防ぐ重要設備だ。福島第1原発にあれば、放射性物質の大規模放出は避けられたとの指摘は多い。原子力規制委員会は泊のような加圧水型原発については、福島第1などの沸騰水型とは異なり、再稼働の必要条件にはしない方向。ただ、もちろん不要というわけではなく、北電は2015年度までに泊に設置する予定だ。
 Q 加圧水型にべント設置の「猶予期間」が設けられたということは、全国の原発の中で、泊の再稼働のハードルは下がったのかな。
 A そうとも言えない。新安全基準はこのほかにも、多くの対策を求めている。泊は格納容器内の冷却対策が進んでいない。重要設備の配管の多重化など、詳細な検討をしなければ分からない課題も残っている。断層の問題も含め、総合的な判断が必要で、再稼働の時期は不透明なままだ。新安全基準の施行は7月だが、年内の再稼働は難しいとの見方もある。
 (東京報道 安本浩之)
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