[2019_12_24_03]福島第一処理水 海・大気放出軸に3案 影響懸念、白紙に(東京新聞2019年12月24日)
 
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福島第一処理水 海・大気放出軸に3案 影響懸念、白紙に

 東京電力福島第一原発の汚染水を浄化処理した水の処分方法を議論する政府小委員会が二十三日、都内であり、事務局の経済産業省資源エネルギー庁は国内外で処分実績がある海と大気への放出を軸に三案を提示した。しかし複数の委員から、周辺住民への社会的、経済的影響の記載が不足していると指摘があり、事務局案は白紙に戻り議論継続となった。 (渡辺聖子)
 福島第一では処理水が大量に保管されている。小委はこれまで、浄化処理し切れない放射性物質トリチウムを主に含む水の処分方法として地層注入、水素放出、地下埋設も検討してきたが、この日の事務局案ではいずれも前例がなく、技術的な課題が多いとされた。
 また、原発構内での保管は敷地に余裕がなく大幅なタンク増設が見込めず、外部への水の移送も困難と結論付けた。
 このため事務局案は、タンク容量が二〇二二年夏にも満杯になるとの前提で、(1)希釈して海に放出(2)蒸発させて大気に放出(3)社会的、経済的影響が漁業に偏らないよう海、大気放出を併用−の三案を有力とした。
 複数の委員からは、福島県を中心とした住民らへの影響を懸念する意見が相次いだ。東京大大学院准教授の関谷直也さんと、消費生活アドバイザーの辰巳菊子さんは「社会的影響は大きいと書くべきだ」と主張。水産研究・教育機構中央水産研究所の森田貴己さんは、海洋放出が「より安定的に希釈拡散できる」という表現について「科学的に疑問だ」と指摘した。
 会合後、事務局担当者は取材に「きょうの議論だけでは踏み切れない。ゼロベースで考えることになる」と話し、三案に絞った事務局案の見直しを示唆した。
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