[2009_04_08_01]1500万年前の地溝 中越地震と関連?余震を分析し発見(中日新聞2009年4月8日)
 新潟県中越地震(二〇〇四年)と中越沖地震(〇七年)で観測された余震の地震波のデータから、中越地方の地下に段丘状の地形や地溝と呼ばれる大きな溝があることが分かった。東大地震研究所の加藤愛太郎助教が分析した。溝は千五百万年以上前に日本列島が大陸から離れた際に地盤が引き裂かれた傷跡≠ナ、現在の地震発生とも深くかかわるという。
 全国の大学と研究機関では両地震の直後、陸と海の延べ二百五十三カ所に臨時の地震計を置き、それぞれ一カ月間にわたって余震を観測した。
 加藤さんは観測データから規模が大きな千四百九十五個の余震を選び、異なる地震計に揺れが届く時間の差などから、地震波が地中を伝わる速さを計算した。
 その結果、長岡平野の地下五−十`より深い場所で地震波の速度が遠いことが分かった。地震波が速く伝わるのは固い地層だ。「速い部分は千五百万年以上前に日本が大陸の一部だったころの古い地面。その上は後に堆積したやわらかい地層」と加藤さん。
 この古い地表面は階段状の段丘地形を示し、特に柏崎市と長岡市の境界付近の地下で幅十`、長さ約三十`にわたり、ひときわくぼんだ地溝を作っていることが分かった。
 「この形は、日本海が作られるとき北西−南東方向に引っ張りの力が働いてできたと考えられる」と加藤さん。引っ張られた中心の裂け目が地溝で、周囲に亀裂のように生まれた断層が活動して段丘を形づくったという。
 三百万年前ごろから、今度は圧縮する力が加わるようになり、段丘を形づくった断層が逆方向に動き始めて再び地震が起きるようになった、と加藤さんはみる。
 中越地震と中越沖地震もこれらの動きの一つという。能登半島地震のように中部−東日本の日本海沿岸で起きる地震は、ほぼ同様の仕組みで起きていると考えられるという。
KEY_WORD:能登半島地震(2007年)_:CHUETSUOKI_:CHUUETSU_:NOTOHANTO_: