[2009_06_12_01]内陸地震の断層直下に液状領域 「岩手・宮城」などで確認 ひずみ生む?(静岡新聞2009年6月12日)
 14日で発生1年を迎える岩手・宮城内陸地震のように、日本列島の内陸部で比較的規模の大きな地震を起こす断層は、直下に軟らかい液状の領域がある−。近年の地震の解析でこんな構造が分かってきた。この領域があることで真上にひずみが生じ、解消するために地震が起きるのではないかと推測されている。
 東北大などの合同観測グループは岩手・宮城内陸地震を受け、多数の地震計を使ってCTスキャンのように地下で地震波の伝わる速度を調べた。
 その結果、断層直下に地震波の伝わり方が遅い領域があった。地震波は硬い岩盤だと速く伝わるが、温度が高く軟らかい領域では速度が減少する。このためグループは、断層直下に熱水やマグマなどによる液状の領域があるとしている。
 こうした領域は、阪神大震災を起こした兵庫県南部地震や鳥取県西部地震、新潟県中越地震、能登半島地震などでも確認され、地下約15〜30キロの場所にあるとされる。
 液状の領域は高温で軟らかく、変形しやすい。このため東北大の海野徳仁教授は、断層下の領域が変形することで、上部地殻と呼ばれる真上の領域に無理な力がかかると推測。ひずみを解消するために断層が動くのではないかとみている。
 どうしてこういう領域ができるのか。海野教授は、熱水やマグマなどが局所的に搾り出されて上がってくる領域があると分析。「内陸地震は地下の浅い所ではなく、深部の状態が発生をコントロールしているのではないか」と話している。
KEY_WORD:能登半島地震(2007年)_:IWATEMIYAGI_:HANSHIN_:TOTTORI_:CHUUETSU_:NOTOHANTO_: