[1996_05_21_01]軸封部に金属粉混入 作業管理の初歩的ミス 北電志賀原発 手動停止の原因発表 昨年の定期検査時に(北陸新聞1996年5月21日)
 
 北陸電力は21日、石川県志賀町赤住の北電志賀原発1号機(沸騰水型軽水炉、定格出力54万キロワット)の原子炉再循環ポンプ軸封部の機能が低下したトラブルの原因を発表した。調査の結果、昨年の定期検査作業時に紬封部内に混入した微細な金属粉が回転リングと静止リングの問に入り込んだため摩耗粉が発生し、減圧装置の内部に付着した作業管理上のミスであることが分かった。

 北電の嶋田篤原子力部原子力建設担当課長と水上実石川支店地域担当課長が、金沢商工会議所会館で記者会見した。嶋田課長の説明によると、分解点検の結果、第一段シール室の回転リングに深さ数ミクロンの傷がレコードの溝のようについていた。
 第二段シール室の長さ3メートル、直径2ミリの減圧装置の内部には全体にわたり、第一段シール室の静止リングから削り取られたカーボン粉が付着しており、これがシール水(軸封部内を流れる冷却水)の出口流量の低下や、第二段シール室の圧力上昇などにつながった。
 昨年9月から12月に実施した定期検査では、軸封部と上部にある電動機の検査を並行して進めた。電動機の作業時には、軸封部をビニールシートで覆ったが、シートに落ちた電動機部分からの金属粉が軸封部に混入したとみられる。
 北電によると、軸封部は消耗部品があることから毎年の定期検査の対象となるが、同部に直結して上部にある電動機はほぼ五年に一度の点検となる。今回が初めての並行作業だったために、軸封部を覆う専用の器具が使えず、ビニールシートを使用した。紬封部のトラブルはこれまで全国で九件発生しているが、同種のトラブルは今回が初めとしている。
 嶋田課長は「定期検査時の作業管理の初歩的なミス」と認めた。北電は今後、ステンレス製の減圧装置の内部をカーボン粉などが付着しにくく滑りやすいものに変更するほか、当該の軸封部などを交換する。同時に検査時の作業マニュアルの見直しを図る。同課長は「交換作業を進め、地元や関係先の理解を得たうえで、運転再開のメドをつけたい」と話している。

 ほっとしている

 細川義雄志賀町長 原因が究明されほっとしている。いち早くチラシなどで議会や町民に知らせて、町民の皆さんが安心した上で、運転再開に同意したい。
KEY_WORD:再循環ポンプ故障_原子炉停止_:SIKA_: