[2019_05_07_01]全国の原発に特定重大事故等対処を求めるならば 今稼働している原発の施設整備が期限内に完了できるかどうかの 問題ではなく即刻の原発施設廃止しかない 再稼働済み原発の特定重大事故等対処施設完成遅れ問題について思う 尾崎憲正 (香川県在住)(たんぽぽ舎2019年5月7日)
 
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全国の原発に特定重大事故等対処を求めるならば 今稼働している原発の施設整備が期限内に完了できるかどうかの 問題ではなく即刻の原発施設廃止しかない 再稼働済み原発の特定重大事故等対処施設完成遅れ問題について思う 尾崎憲正 (香川県在住)

 「原発のテロ対策施設の建設が遅れている問題で、原子力規制委員会が4月24日、再稼働に向けた審査後5年以内とされた設置期限の延長を認めない方針を決めた。」との報道があり、これまでに再稼働した関西、四国、九州の3電力の原発9基は、設置期限内に施設の整備が間に合わず、期限を迎える2020年以降に順次、運転を停止しなければならない見通しとなった。

◎ 今までも、何かに付けてズルズルと問題を先送りして来て、それが許される甘い経験を積み重ねて来た原発業界はどのように対処しようとするのであろうか?
 慣例を破って仲間であるはずの原子力規制委がNOを突き付けたこと自体が、原発を擁する電力会社にとっての特定重大事故だといえる。

◎ そもそも最初から、大型航空機の衝突を受けた際などに原子炉を遠隔で冷却する緊急時制御室などを備える施設を建設することで、テロ対策ができると考えること自体が無理な話である。
 仮にテロを企てようとするものが、大型航空機を乗っ取るなどして原発施設を攻撃して現行の制御室が機能不全に陥るような場合に、他の諸施設が無傷であると考えるのは余りにも愚かなことである。
 それに、多くの原発は大型の航空機が墜落しなくても空からの落下物に対して脆弱ではないだろうか。例えば小型機が送電線を切断しただけでも発電機の緊急停止をしなければならず、これはやがて原子炉の運転停止につながってしまう。
 またテロリストがたった一つの手段で攻撃することも普通は考えられない。原発の作業者にとっては当然2発目以降を想像して自分の身を守ろうとして職場を放棄する事態が生じるのは無理からぬことであり、

 人的コントロールを失った原発は暴走する。

◎ つまり、原発はハード面からのテロ対策施設を幾重に整備しても必ず漏れがある。想定される津波高さが原発の機能不全を引き起こすと言う警告が出されていたにもかかわらず、これを無視し対処することが出来なかった電力事業者らが、誰が、何時、どのような手段を用いて襲おうとしているか知り得ないテロに対処することは初めから不可能な話である。
 全国の原発に特定重大事故等対処を求めるならば、今稼働している原発の施設整備が期限内に完了できるかどうかの問題ではなく、即刻の原発施設廃止しかないのである。

※事故情報編集部より
 尾崎憲正氏の投稿は、4月28日にいただきました。

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