戻る ●2016年7月13日 国の専門機関 「石棺」と呼ばれる方法に初めて言及 戻る
 
※文中の赤色下線は当会(地震がよくわかる会)の加筆です。

チェルノブイリ原発の「石棺」を封印する超巨大シェルター 2016/11/30 )
 

○印象的な文・発言のアイコン
( NHK 2019/02/13 )

○記事一覧

( 1 ) 東奥日報 2016/07/14 溶融燃料 炉内残存か 複数工法で取り出し 新たな廃炉プラン
 原子力損害賠償・廃炉等支援機構は13日、東京電力福島第1原発事故の廃炉作業の新たな「戦略プラン」を公表した。これまでは溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出し方法を一つに絞り込む方針だったが、燃料のある場所に応じて複数の工法を組み合わせる可能性が高まった。燃料を取り出さずに建屋をコンクりートで覆う「石棺」に初めて言及した。
 チェルノブイリ原発事故で採用された「石棺」については「当面の閉じ込め確保に効果があるとしても、長期にわたる安全管理が困難」と問題点を指摘。現時点では引き続き取り出しを目指し、今後明らかになる内部状況に応じて柔軟に見直すベきだとした。

( 2 ) NHK 2016/07/15 高木副大臣 「廃炉の計画で石棺の選択肢はない」
 東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた計画で、国の専門機関が核燃料を建屋内で閉じ込める「石棺」と呼ばれる方法に初めて触れたことについて、高木経済産業副大臣は15日行われた福島県の内堀知事との会談で、「廃炉をやり遂げることが最も大切なことで、石棺という選択肢は全くない。計画の記述を書き直すよう指示した」と述べました。
 福島第一原発の廃炉に向けて、国の原子力損害賠償・廃炉等支援機構は13日、事故で溶け落ちた核燃料を取り出すことがあくまで大前提としたうえで、核燃料を建屋内で閉じ込める「石棺」と呼ばれる方法に初めて触れ、この方法に選択の余地を残した技術的な計画を示しました。
 これについて、福島県の内堀知事は15日、経済産業省で高木副大臣と会談し、「石棺方式ということばを初めて聞いて、大きなショックを受けている」と述べたうえで、容認できないとする要望書を手渡しました。
 また、林経済産業大臣は15日の閣議のあとの会見で、「石棺方式をとることは考えていない。機構に対しては計画の表現について誤解を招かないよう修正するように指示した」と述べました。

( 3 ) 東奥日報 2016/07/21 廃炉機構 「石棺」表現削除 「戦略プラン」修正版公表
 原子力損害賠償・廃炉等支援機構は20日、東京電力福島第1原発事故の廃炉作業に関する新たな「戦略プラン」で言及した、建屋をコンクリートで覆う「石棺」の文言を削除した修正版を公表した。溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の完全取り出しを求める地元の反発を受け、経済産業省が機構に修正を指示していた。
 修正版では燃料デブリを取り出さないチェルノブイリ原発事故の収束作業を念頭に「核燃料物質を回収の見通しなく長期的に放置することは、当面の開じ込め効果があるとしても長期の安全管理が困難」と指摘。石棺の文言は使わずに「このような取り組みは採用しない」と明記した。

( 4 ) 東奥日報 2016/08/10 「石棺全く考えず」 東電福島第1原発 世耕経産相が視察
 世耕弘成経済産業相は9日、就任後初めて東京電力福島第l原発を視察し、廃炉作業や、原子炉建屋周囲の地中を凍らせる汚染水対策「凍土遮水壁」の現状を確認した。溶融した核燃料(燃料デブリ)を取り出さず、建屋をコンクリ−トで覆う「石棺」は全く考えていない」とも話した。
 「石棺」を巡っては原子力損害賠償・廃炉等支援機構が7月に公表した廃炉作業に関する新たな「戦略プラン」で言及。デブリの完全取り出しを求める地元の反発を受け、文言を削除した。

( 5 ) 東奥日報 2016/12/01 チェルノブイリに鋼鉄の覆い 「問題解決 まだ先」
 30年前に爆発事故を起こしたウクライナのチェルノブイリ原発4号機は、鋼鉄製の巨大シェルター覆われ、事故対応は一つの節目を迎えた。しかし、事故当時、命を危険にさらして、処理に当たった元原発作業員らは「放射能はずっと残る。4号機が見えなくなっても、問題は解決していない」と強調する。  事故後、4号機の周りに急造されたコンクリート製の石棺が老朽化。放射性物質の漏出を防ぐ新しいシェルターは4号機をすっぽり.覆うように移動を終え、29日に記念式典が行われた。

( 6 ) 福島民報 2017/01/12 第二原発廃炉「決着つけなければ」 高木経産副大臣に聞く
 11日、福島民報社のインタビューに応じた高木陽介経済産業副大臣は、東京電力福島第二原発の廃炉について、「何らかの決着をつけなければならない」との認識を示した。
 −昨年、原子力損害賠償・廃炉等支援機構は福島第一原発の廃炉作業に関する戦略プランの中に、溶融燃料(燃料デブリ)を取り出さず建屋を覆う「石棺」の文言を記した。後に削除したが、国の本音を見た印象だ。
 「私も機構の山名元(はじむ)理事長も(石棺は)全く考えていない。原子力規制委員会で『もう石棺にしていいのではないか』という無責任な、現場を見ていない人たちがいる。そういう話を否定するために使った言葉だが、現場の人たちがどう受け止めるかという点に思いが至らなかった。叱責(しっせき)されて当然だ。政治家として責任を持って必ず廃炉にする」

( 7 ) 時事通信 2017/05/04 福島第1、デブリ取り出し着実に=世耕経産相がチェルノブイリ視察
 世耕弘成経済産業相は4日(日本時間同)、1986年4月に史上最悪の事故を起こしたウクライナ北部の旧ソ連チェルノブイリ原発を視察した。
 世耕氏は視察後記者団に、東京電力福島第1原発について、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)を取り出す作業を着実に進める考えを強調した。
 エネルギー政策を所管する経産相がチェルノブイリを視察したのは初めて。視察した4号機は爆発後にコンクリートの「石棺」で覆われた。昨年、さらに巨大なアーチ型シェルターが設置されたが廃炉作業は始まっていない。
 世耕氏は「石棺化によって、センサーを入れにくくなったり、デブリの様子が分からなくなったり、という問題点があった」と指摘。その上で「福島第1原発は燃料デブリを取り出す作業計画が進んでいる。それをしっかりやっていかなければいけない」と強調した。

( 8 ) NHK 2019/02/13 「燃料デブリ」接触調査 初めて実施 福島第一原発2号機
 廃炉に向けた最大の難関とされる福島第一原発の燃料デブリの取り出しは、世界でも前例のない取り組みです。
 旧ソビエトで1986年に起きたチェルノブイリ原発の事故では、原子炉建屋に核燃料およそ170トンが溶けてコンクリートなどと混ざり合い燃料デブリとなって残されているみられますが、「石棺」と呼ばれるコンクリートの構造物で覆うなどしてデブリの取り出しは行われていません。
 また、アメリカペンシルベニア州で40年前に起きたスリーマイル島原発事故では、カメラを使った原子炉内部の調査などを経て事故の6年後に燃料デブリの取り出しを始めました。大きな損傷を免れた原子炉を水で満たすことで放射線を遮り、水中でデブリを砕いて専用の容器に詰める方法で取り出し作業が進められました。
 一方、福島第一原発の1号機から3号機では、溶け落ちた核燃料が原子炉を突き破って格納容器に達しているとみられ、燃料デブリの総量はおよそ880トンに上ると推定されています。
 さらに、事故で損傷した格納容器の修理が難しいことなどから、格納容器は水で満たさず、水位は低いままで空気中で取り出す「気中工法」と呼ばれる方法を軸に進めるとしています。

( 9 ) 現代ビジ 2019/03/12 原発事故処理費用「81兆円」衝撃の数字はこうして算出された
 この事故処理費用について、老舗の民間シンクタンク「日本経済研究センター」が新たなヒアリングを踏まえて2年ぶりに再試算したところ、最大で81兆円と3年前の経済産業省の試算22兆円の3.7倍に膨らむ恐れがあることが明らかになった。
 政府の皮算用を大きく上回った理由は、今なお続く膨大な地下水の流入で処理すべき汚染水の量が増え続けていること、廃炉を実現するための核燃料デブリの除去が目論見通りに進まない可能性が高まっていることの2つだ。
 第二の節約策は、ここへ来て技術的な困難さが指摘されている核燃料デブリの取り出しを断念し、チェルノブイリ原発で行ったような「石棺」化、もしくは「水棺」化して、永久管理するというものだ。核燃料デブリとは原子炉の事故で、炉心が過熱し、溶け落ちた核燃料が原子炉に使われていたコンクリートや鉄パイプなどと混ざり合った後、冷えて固まったものを指す。

( 10 ) たんぽぽ 2019/03/15 建屋全体を強固な構造で覆い上部をふさぐ工事が必要
( 11 ) たんぽぽ 2019/10/17 『原発にしがみつく日本 なぜ?どうする?』小出裕章氏への9つの質問と回答
 質問4
◎福島第一原発は、石棺方式がベストだと小出さんは言っていましたが、共産党系の学者には、地下水の問題があるから、石棺方式はダメという人がいました。この点はどうでしょうか? デブリは水で冷やし続けなければならないはず。その水の処理は?

☆小出裕章氏の回答
 デブリの発熱は8年7カ月以上たった今では、事故直後の1000分の1以下に減っています。水での冷却ではなくおそらく空冷で可能と私は思います。また、デブリの取り出しができないと私は思いますので、石棺を作る以外に対処法はないと思います。
 共産党系の学者の方が地下水の問題があるから石棺はダメと発言されているとのことですが、私にはその根拠が分かりません。もちろん、これまで東電と国がやってきた凍土壁では地下水の流入を止めることはできません。でも、きちんとしたコンクリートの遮水壁を作ることは可能だと私は思います。トンネル工事など多数の実績を重ねてきた専門家からそう聞きました。
 ただ、問題はその作業のためには多数の労働者が被曝作業に従事するしかないということです。1986年に起きたチェルノブイリ原発の事故では4号機1基だけが爆発しました。そして60万人とも80万人とも言われる軍人、退役軍人、労働者が石棺づくりに駆り出されました。彼らの必死の作業でチェルノブイリ原発の場合には地下構造物の健全性が保たれたため、石棺は地上部分だけに作れば用を足しました。
 しかし、フクシマ事故の場合、1,2,3号機の3基が地上部分で破壊されていますし、それら3基とも地下部分は地震によって破壊され、地下水が流入してきています。そのため、福島の場合には3基で地上部分と地下部分に石棺を作らなければなりません。いったい、どれだけの労働者がどれだけの被曝をしなければならないのか気が遠くなります。

( 12 ) ゲンダイ 2019/12/02 西尾正道氏 原発汚染水の海洋放出は人類への“緩慢な殺人”
( 13 ) 幻冬舎 2020/03/15 初動|東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと
 2011年3月11日からの数週間、東日本は放射能という見えない敵によって占領されようとしていた。その敵は、外国からの侵略者ではない。多くの人にとって、そのような意識はないだろうが、日本が自分自身で生み出した敵なのだ。であればこそ、日本が自分の力で収束させなければならなかった。そのためには、犠牲者が出るのも覚悟しなければならない。そこまで事態は深刻化していった。
 ソ連ではチェルノブイリ原発事故を収束させるために、軍が出動してヘリコプターから総計5000トンの砂や鉛(なまり)を投下して消火し、さらに半年ほどかけて「石棺(せっかん)」を作った。
 最初の一〇日ほどの消火作業だけで兵士を中心とした作業員200名以上が入院し、約30名が急性被曝が原因で死亡したと伝えられるが、その後も含めて相当数の兵士が死亡したと言われている。何人の犠牲者が出たかは、ソ連という国柄もあり、よく分からない。決死の作業であったことは間違いない。しかし、日本においてソ連と同じような対応ができるのか。また、やっていいのか。

( 14 ) たんぽぽ 2020/07/10 講演「日本の原発報道」(2019年ウクライナ) 浅野健一
( 15 ) 福島民報 2020/11/15 デブリ取り出し 保管に最大6万平方メートル 国は早く処分地決定すべき
( 16 ) ヤフー 2021/02/25 「5000万人避難まで想定した最悪の事態」菅直人元首相
( 17 ) 東洋経済 2021/03/08 福島原発事故から10年 遠い「廃炉」への道のり
( 18 ) たんぽぽ 2021/03/17 原子炉本体が含む放射性核種の量を開示していない
( 19 ) サン毎日 2021/05/27 100年たっても取り出せない 「デブリ」=小出裕章
( 20 ) アエラ 2022/03/07 廃炉できないなら「『石棺』で封じ込めるしかない」_小出裕章
小出裕章・元京大原子炉実験所助教に聞いた。
 国と東電が策定したロードマップは「幻想」です。
 国と東電がいう「廃炉」とは、燃料デブリを格納容器から取り出し、専用の容器に封入し、福島県外に搬出するということです。
 当初、国と東電は、デブリは圧力容器直下の「ペデスタル」と呼ばれるコンクリート製の台座に、饅頭(まんじゅう)のような塊になって堆積(たいせき)していると期待していました。そうすれば、格納容器と圧力容器のふたを開け、上方向からつかみ出すことができます。
 しかし、デブリはペデスタルの外部に流れ出て飛び散っていることが分かりました。デブリを上部から取り出すことができないことが分かったのです。
 廃炉できなければどうすればいいか。できうることは、1986年のチェルノブイリ原発事故の時に実施したように、原子炉建屋全体をコンクリート製の構造物「石棺」で封じ込めるしかありません。
 人間に対して脅威となる放射性物質のセシウム137とストロンチウム90の半減期は、それぞれ30年と28年です。100年待てば放射能は10分の1に、200年待てば100分の1に減ってくれます。
 100年か200年か経てば、その間に、ロボット技術や放射線の遮蔽技術の開発も進むはずです。そして、いつかの時点でデブリを取り出すこと以外ないと思います。
 国と東電は、それくらい長期にわたる闘いをしているんだと覚悟しなければいけません。
 そのためにも、一刻も早く福島県に「廃炉は不可能」と説明し、謝罪するべきです。悲しいことですが、事実を直視しなければ前に進めません。

( 21 ) 民間規制 2022/05/14 デブリの取り出し計画を早急に中止すべき 東電への質問書
( 22 ) たんぽぽ 2022/11/08 事故の責任は旧経営陣が負うのが当然 原子力民間規制委員会・東京
( 23 ) たんぽぽ 2023/05/17 事故炉の石棺化などの永久保管の方策を立てるべき…など3点の質問 岩田俊雄
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