[2014_08_23_01]Q&A 福島第1原発トレンチ 一部凍らず 壁と氷の隙間 水流加速 東電、止水材で埋め凍結へ(東奥日報2014年8月23日)
 
[テキスト文]
 東京電力福島第1原発で、トレンチと呼ばれる地下道にたまった高濃度汚染水を抜き取るため、タービン建屋との接続部を「氷の壁」で遮断する工事がうまく進んでいません。東電は、セメントなどの止水材を投入する追加対策を進める方針を示しました。

Q トレンチとは何ですか。
A 福島第1原発の建屋海側にある地下道で、電源ケーブルなどが通っています。事故で溶けた燃料を冷却した後の汚染水がたまるタービン建屋の地下とつながっています。2,3号機のトレンチには約1万1千トンの高濃度汚染水がたまっているとみられます。

Q 「氷の壁」とはどんな工事ですか。
A 東電は建屋とトレンチの接続部を凍らせて水の流れを止める「凍結止水」という方法を選びました。水中に凍結管を入れ、水を壁のように凍らせます。建屋とトレンチを行き来する水をせき止めてからトレンチの水を抜く計画で、2号機で先行して始めました。

Q 対策の重要性は。
A トレンチは震災で壊れ、汚染水が地中を通って海に流出している恐れがあり、水抜きを急ぐ必要があります。さらに、東電は建屋周囲の地盤を凍らせて地下水をせき止める「凍土遮水壁」を建設中ですが、トレンチの水を抜かないと遮水壁はつくれません。

Q 氷の壁の現状は。
A 4月に凍らせ始めましたが、うまく凍らない場所が残っています。水温を下げるため、凍結管を増やし、7月下旬からは氷やドライアイスを毎日大量に入れていますが、凍結は92%にとどまっています。

Q 凍らないのはなぜですか。
A 氷投入などで凍った範囲は増えましたが、壁と凍結管の間やケーブルの周りなどに隙間が残っています。隙間が狭まったことで、トレンチと建屋を行き来する水の流れが速くなり、かえって凍りにくくなってしまったようです。こうした隙間を止水材で埋め、水流を抑えて凍りやすくするのが追加対策です。

Q 止水材とはどんなものですか。
A セメントに粘り気を調整する薬剤などを混ぜた「グラウト」と呼ばれるドロドロの液体を流し入れて、固めることを検討中です。

Q うまくいきますか。
A セメントが固まると化学反応で熱を発生するため、せっかく凍った氷が溶けてしまう恐れがあります。隙間が残ったまま固まる可能性もあり、専門家からも不安の声が出ているます。

Q 心配ですね。
A 一度、止水材を流し込むとやり直しができません。東電は模擬実験をした上で、9月に原子力規制委員会の会合に結果を報告し、止水材の種類や投入方法などを最終判断する予定です。
KEY_WORD:汚染水_:FUKU1_:高濃度汚染水:氷の壁:凍結止水:凍土遮水壁:ドライアイス:グラウト:規制委: