[2021_01_08_02][寄稿]福島原発汚染水の海洋放出決定が間近に…国際海洋法裁判所に持ち込むべき(ハンギョレ新聞2021年1月8日)
 
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[寄稿]福島原発汚染水の海洋放出決定が間近に…国際海洋法裁判所に持ち込むべき


チャン・マリ・グリーンピース気候変動・エネルギーキャンペーナー

 韓国の海洋水産部が12月14日に開かれたロンドン条約及びロンドン議定書加盟国会議で、福島第1原発汚染水の海洋放出が日本政府の主権事項とは言えないという立場を示した。日本の管轄範囲を超え、隣国の韓国にも被害を及ぼしかねないという理由からだ。米国とフランスは、汚染水の放出に伴う安全性を信頼するとして、国際原子力機関(IAEA)が管掌すべき事案だと発言した一方、中国やロシア、カナダの代表団は、韓国政府の立場に同意する意思を明らかにした。同会議に出席したグリーンピース研究所のデビッド・サンティロ首席研究員も、汚染水の海洋放出問題は国際的に論議すべき問題だと強調した。海水部は今回の会議で一部周辺国から支持を引き出す一方、次期会議で引き続き議論できる機会を確保した。韓国政府のこのような努力にもかかわらず、一部では汚染水を処理して放出すれば問題ないという意見もある。しかし、このような判断は間違っている。

 現在、太平洋に放流される予定の137万トン(2022年夏基準)は、問題の始まりにすぎない。この莫大な量の汚染水が放出された後も、福島原発で毎週数百トン作られる放射性物質が海に放出され続けるだろう。一部の物質の半減期は数万年以上である。汚染水が発生する根本原因は、福島原発事故で溶けた3基の原子炉だ。核分裂が続く原子炉を統制するために、毎日冷却水を投入しなければならない。原子炉の核燃料物質と廃棄物が完全に除去されるまで、汚染水は引き続き発生する。過去最悪の原発事故とされるチェルノブイリ原発事故後に残された核燃料は約570トンと報告されている。ウクライナ政府は、核燃料を除去するのに必要な時間を100年と見ている。事実上、具体的な日程を約束できないという意味だ。福島原発の原子炉の内部には、1100トン以上の核燃料と廃棄物が残っている。チェルノブイリ原発より約2倍多い量だ。特に、生物学的被害が最も大きいストロンチウムの大半が原子炉にそのまま残っている。こうした高濃度放射性物質によって発生した汚染水は持続的に増え、生態系に蓄積されることになる。日本政府が太平洋に放出すると公言している汚染水の量は、すでに100万トンを超え、今後10年以内に200万トンに増える可能性がある。汚染水中の放射性物質も問題だ。セシウムやストロンチウムは、海底土壌に蓄積・堆積され、長期的に放射能を放出し続ける可能性がある。海洋生物に及ぼす影響も深刻だ。

 問題は汚染水による被害を事前に把握し、防止することが不可能だということだ。国際海洋法で放射性物質の海洋投棄を強く規制しているのも、そのためだ。日本政府は通常の原発冷却水の排出の例を挙げて、福島原発汚染水の海洋放出が正当だと主張するが、原発事故の廃棄物を自然環境に放出することが認められた前例はない。したがって、韓国は悲劇的な結果を招かないように、日本政府の放出決定を必ず阻止しなければならない。まず、韓国政府には日本政府に公式的な環境影響評価の遂行を要求する権利がある。事前通知の原則を守らず、環境影響評価の遂行義務を果たさない汚染水の海洋放出決定は国際法違反だ。日本政府とほぼ同じ主張をしている国際原子力機関でさえ、環境影響評価の必要性を報告書に明示している。韓国政府はこれを積極的に要求し、実現させなければならない。

チャン・マリ・グリーンピース気候変動・エネルギーキャンペーナー(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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