[2021_01_28_04]福島第1原発の汚染水発生量、今も1日ドラム缶700個分 地下水や雨水が浸入(毎日新聞2021年1月28日)
 
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福島第1原発の汚染水発生量、今も1日ドラム缶700個分 地下水や雨水が浸入

 東京電力福島第1原発で発生し続けている汚染水について、政府・東電は28日、2020年の1日当たりの発生量が140立方メートルだったと発表した。一般的なドラム缶700個分に相当する。東電は20年内に1日当たり150立方メートル程度に抑えることを目指し、対策を推進。目標は達成したものの、原発事故から10年近くがたってもゼロになるめどは立っていない。
 福島第1の1〜3号機には連日、西側から大量に流れてくる地下水が、建屋地下の壁のひびなどを通って入り込んでいる。さらに、雨水も雨漏りにより建屋内に浸入。すると、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)を冷やした水と混じり、放射性物質の濃度が高い汚染水になる。
 政府・東電は14年以降、敷地内の地下水のくみ上げや、建屋周辺の地下を囲うように設けた「凍土壁」などで、汚染水の発生を抑える対策を実施。東電などによると、15年度の1日当たりの発生量は490立方メートルで、その後は減少傾向だった。20年が140立方メートルだったのは、大雨がほぼなかったことも影響した。
 政府・東電は25年までに発生量を100立方メートル以下にする計画を立てている。今後の見通しについて、経済産業省の担当者は「対策の効果は出ているが、今年も同程度になるかは慎重に見ていく必要がある」と話した。
 一方、汚染水から放射性物質を低減させた汚染処理水は、20年12月時点で約124万立方メートル(東京ドーム約1個分)に上る。敷地内のタンクには137万立方メートルまでしかためられず、22年秋以降には満水になるとみられる。
 タンクの水の処分方法について、政府・東電は一時、20年10月末に決定する方針だったが、漁業関係者の反発などから先送りしている。この日、経産省の担当者は「先延ばしはできないという認識だ」と説明するにとどめた。【荒木涼子】
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