[2013_06_19_05]実用発電用原子炉及びその附属施設の火災防護に係る審査基準(原子力規制委員会2013年6月19日)
 
参照元
実用発電用原子炉及びその附属施設の火災防護に係る審査基準

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 制定 平成 25 年 6 月 19 日 原規技発第 1306195 号 原子力規制委員会決定

 実用発電用原子炉及びその附属施設の火災防護に係る審査基準について次のように定める。

 平成 25 年 6 月 19 日

  原子力規制委員会

 実用発電用原子炉及びその附属施設の火災防護に係る審査基準の制定について

 原子力規制委員会は、実用発電用原子炉及びその附属施設の火災防護に係る審査基準を別添のとおり定める。

 附 則

  この規程は、平成25年7月8日より施行する。

 実用発電用原子炉及びその附属
 施設の火災防護に係る審査基準

 平成25年6月
 原子力規制委員会

1. まえがき
 本基準は、実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(平成25年原子力規制委員会規則第5号)第8条に定める火災防護の設計方針に基づき、発電用軽水型原子炉施設(以下「原子炉施設」という。)の火災防護対策の詳細に関して、原子炉施設の安全機能確保の観点から、考慮すべき事項を定めたものである。
 なお、本基準に適合しない場合であっても、それが技術的な改良、進歩等を反映したものであって、本基準を満足する場合と同等又はそれを上回る安全性を確保し得ると判断される場合は、これを排除するものではない。

(参考)(ここで「参考」とは、対審査官に向けての視点、注意事項を整理したものである。)
 原子炉施設は、火災によりその安全性が脅かされることがないように、適切な火災防護対策を施しておく必要がある。
 本基準では、火災の発生防止対策を示すとともに、火災の感知及び消火、並びに火災の影響軽減対策をとり入れている。
 人為的な火災や定期検査時に持ち込まれる可燃性物質による火災、又は溶接作業等により発生する可能性がある火災等については、管理に係る事項であることから、本基準の対象外としている。

1.1 適用範囲
 本基準は、原子炉施設に適用する。

1.2 用語の定義
 本基準において、次の各号に掲げる用語の定義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 (1) 「不燃性」 火災により燃焼しない性質をいう。
 (2) 「難燃性」 火災により燃焼し難く、著しい燃焼をせず、また、加熱源を除去した場合はその燃焼部が広がらない性質をいう。
 (3) 「耐火壁」 床、壁、天井、扉等耐火構造の一部であって、必要な耐火能力を有するものをいう。
 (4) 「隔壁」 火災の影響を防止するための不燃性又は難燃性の構造物をいう。
 (5) 「消火設備」 消火器具、消火栓、消火配管、自動消火設備、手動消火設備、移動式消火設備(消防車等をいう。)及び消火水槽をいう。
 (6) 「火災感知設備」 火災の感知を行い、警報等を行う設備をいう。
 (7) 「火災荷重」 ある空間内の可燃性物質の潜在的発熱量をいう。
 (8) 「難燃ケーブル」 火災により着火し難く、著しい燃焼をせず、また、加熱源を除去した場合はその燃焼部が広がらない性質を有するケーブルをいう。
 (9) 「可燃性物質」 不燃性材料以外の材料をいう。
 (10) 「発火性又は引火性物質」 可燃性物質のうち、火災発生の危険性が大きい、火災が発生した場合に火災を拡大する危険性が大きい、又は火災の際の消火の困難性が高いものをいう。
 (11) 「火災区域」 耐火壁によって囲まれ、他の区域と分離されている建屋内の区域をいう。
 (12) 「火災区画」 火災区域を細分化したものであって、耐火壁、離隔距離、固定式消火設備等により分離された火災防護上の区画をいう。
 (13) 「火災防護対象機器」 原子炉の高温停止または低温停止に影響を及ぼす可能性のある機器をいう。
 (14) 「火災防護対象ケーブル」 火災防護対象機器を駆動若しくは制御するケーブル(電気盤や制御盤を含む。)をいう。
 (15) 「安全機能」 原子炉の停止、冷却、環境への放射性物質の放出抑制を確保するための機能をいう。
 (16) 「多重性」 同一の機能を有する同一の性質の系統又は機器が二つ以上あることをいう。
 (17) 「多様性」 同一の機能を有する異なる性質の系統又は機器が二つ以上あることをいう。
 (18) 「独立性」 二つ以上の系統又は機器が設計上考慮する環境条件及び運転状態において、共通要因又は従属要因によって、同時にその機能が阻害されないことをいう。
 (19) 「単一故障」 単一の原因によって一つの機器が所定の安全機能を失うことをいう。単一の原因によって必然的に発生する要因に基づく多重故障を含む。

(中略)

 2.1.2  安全機能を有する構築物、系統及び機器は、以下の各号に掲げるとおり、不燃性材料又は難燃性材料を使用した設計であること。ただし、当該構築物、系統及び機器の材料が、不燃性材料又は難燃性材料と同等以上の性能を有するもの(以下「代替材料」という。)である場合、もしくは、当該構築物、系統及び機器の機能を確保するために必要な代替材料の使用が技術上困難な場合であって、当該構築物、系統及び機器における火災に起因して他の安全機能を有する構築物、系統及び機器において火災が発生することを防止するための措置が講じられている場合は、この限りではない。

 (1) 機器、配管、ダクト、トレイ、電線管、盤の筐体、及びこれらの支持構造物のうち、主要な構造材は不燃性材料を使用すること。

 (2) 建屋内の変圧器及び遮断器は、絶縁油等の可燃性物質を内包していないものを使用すること。
 (3) ケーブルは難燃ケーブルを使用すること。
 (4) 換気設備のフィルタは、不燃性材料又は難燃性材料を使用すること。ただし、チャコールフィルタについては、この限りでない。
 (5) 保温材は金属、ロックウール又はグラスウール等、不燃性のものを使用すること。
 (6) 建屋内装材は、不燃性材料を使用すること。

(参考)
 「当該構築物、系統及び機器の機能を確保するために必要な代替材料の使用が技術上困難な場合であって、当該構築物、系統及び機器における火災に起因して他の安全機能を有する構築物、系統及び機器において火災が発生することを防止するための措置が講じられている場合」とは、ポンプ、弁等の駆動部の潤滑油、機器躯体内部に設置される電気配線、不燃材料の表面に塗布されるコーティング剤等、当該材料が発火した場合においても、他の構築物、系統又は機器において火災を生じさせるおそれが小さい場合をいう。

(3) 難燃ケーブルについて
 使用するケーブルについて、「火災により着火し難く、著しい燃焼をせず、また、加熱源を除去した場合はその燃焼部が広がらない性質」を有していることが、延焼性及び自己消火性の実証試験により示されていること。
 (実証試験の例)
 ・自己消火性の実証試験・・・ UL 垂直燃焼試験
 ・延焼性の実証試験・・・IEEE383 または IEEE1202

(後略)
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