| [2025_09_29_03]主張 原子力潜水艦保有 「攻撃的兵器」憲法は許さない(赤旗2025年9月29日) |
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04:00 防衛省が設置した「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」(座長・榊原定征元経団連会長)が、長射程ミサイルを搭載した潜水艦の保有などを提言しました。原子力潜水艦の導入などを念頭に置いているとされます。2022年策定の安保3文書に基づく大軍拡をさらに推し進めようとするものとして重大です。 ■ミサイル垂直発射 有識者会議は、安保3文書に盛り込まれた「防衛政策の企画立案機能の抜本的強化」のためとして24年2月に設置されました。 今月19日に公表した提言は、潜水艦を「隠密裏に展開できる戦略アセット(兵器)」と指摘。潜水艦に長射程ミサイルを発射できる垂直発射装置(VLS)を搭載し、「長距離・長期間の移動や潜航を行うことができるようにする」ため、「従来の例にとらわれることなく、次世代の動力を活用することの検討」を行うべきだとしました。 VLS搭載の原子力潜水艦は、性能上、相手国国土の壊滅的な破壊のためにのみ用いられ、政府が憲法上いかなる場合にも保有が許されないとしている「攻撃的兵器」に当たり得るものです。 「抑止力の大幅な強化」を理由にしていますが、こうした敵基地攻撃能力の増強は、米国の対中国軍事戦略に付き従い、東アジアの軍事緊張を激化させ、戦争の危険を高めるもので許されません。 提言は、安保3文書で27年度に軍事費と関連経費を合わせ国内総生産(GDP)の2%にするとした目標について「国家意思を示すものとして重要」と評価。それにとどまらず「さらなる防衛力の強化のために必要な対応」を国民に説明すべきだとして増額への議論も求めました。 トランプ米政権は日本の軍事費をGDPの3・5%に引き上げるよう要求しており、提言はこれに応えた形です。 軍事費のさらなる増額については「それを裏付ける安定した財源の確保も必要」としており、増税など国民にいっそうの負担増が押し付けられることは避けられません。 ■紛争当事国に武器 提言は、日本からの武器輸出について「わが国防衛産業の販路拡大を通じた成長」につながるとし、軍需産業のもうけのために「積極的に推進すべき」だと強調しているのも大きな問題です。 現在、武器輸出は▽救難▽輸送▽警戒▽監視▽掃海―の5類型に該当すれば認められています。提言は「移転(輸出)の道を広げていくことが必要」で、「他国から脅威を受けている国への装備の移転については、制限を設けないとする考え方も一案」としました。憲法の平和主義に反し、紛争当事国への殺傷兵器の輸出、「死の商人国家」への道を進もうとするものです。 また、軍需産業については「独自の資金力では自主的な研究開発は進みにくい」とし、国営工廠(こうしょう=軍需工場)の導入検討も盛り込みました。 提言を受け、防衛省は安保3文書の一つ、「防衛力整備計画」の改定前倒しも視野に本格的な検討に入るとされています。文字通り「戦争国家づくり」を加速させるもので直ちにやめるべきです。 |
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KEY_WORD:国産-原子力潜水艦-提言_: |