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志賀原発の変圧器問題に関する記事の文中に出てくる専門性の高い用語について、Q&A形式で説明を加えました。引用先のリンクも同時に参考すると、用語の理解が深まるとおもいます。どうぞご参考になさってください。 |
【質問一覧】
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[01] 火災とは? [02] 変圧器の「火災」の焼損程度(全焼/半焼/ぼや)は? [03] 変圧器とは? [04] 起動変圧器とは? [05] 予備電源変圧器とは? [06] 主変圧器とは? [07] 2号機の主変圧器には送電、受電の両機能がある? [08] 放圧板とは? [09] 変圧器の絶縁油とは? [10] 絶縁油に必要な特性は? [11] 変圧器の許容最高温度は? [12] 絶縁油の発火点・引火点は? [13] コーストダウンとは? [14] アーク放電とは? [15] 母線とは? [16] コンサベータとは? [17] 耐震クラスCとは? [18] 放熱器とは? [19] ブッシングとは? [20] フィンとは? [21] 構造解析とは? [22] 共振とは? [23] 延性破壊とは? [24] 過大な荷重を受けた金属材料のディンプル(くぼみ)とは? [25] 固有値解析とは? [26] 剛構造とは? [27] 静的水平加速度とは? [28] 疲労破壊とは? [29] 「経年劣化6事象」とは? [30] 低サイクル疲労とは? [31] 筋交いとは? |
[01]火災とは? 消防庁では火災の焼損程度を4つに分類しています。 焼損程度は4つの段階に分類されている 「ぼや」、「全焼」、「半焼」などの言葉は、普段からよく耳にします。火災のニュースなどでも必ず出てきます。ニュースを見ている私たちは、例えば「ぼや」なら、「火事になる前に消し止められたもの」などと漠然とイメージしますが、消防庁では火災の焼損程度を「全焼」から「ぼや」まで4段階に分けて次のように定めています。 ・半焼…建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20%以上のもので、全焼に該当しないものをいいます。 部分焼け…建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の20%未満のもので、ぼやに該当しないものをいいます。 ・ぼや…建物の焼き損害額が火災前の建物の評価額の10%未満であり、焼損床面積が1平方メートル未満のもの、または収容物のみ焼損したものをいいます。 |
[02]変圧器の「火災」の焼損程度(全焼/半焼/ぼや)は? |
[03]変圧器とは? 変圧器(へんあつき、英語: transformer)あるいはトランスとは、電磁誘導を利用して、交流電源の電圧を変化させる電力機器・電子部品である[1]。変成器(へんせいき)の一種。 変圧の基本原理 変圧器は、磁気的に結合した(相互誘導)複数のコイルからなる。コイル内外に磁気回路をともなうものもある。コイルに使用する導線を巻線という。 特に2個のコイルから成るものにおいて、入力側のコイルを一次コイル、出力側のコイルを二次コイルという。一次コイルに交流電流を流し、変動磁場を発生させ、それを相互インダクタンスで結合された二次コイルに伝え、再び電流に変換し、出力する。 変圧器によって電圧を変更することを変圧(へんあつ)といい、電圧を上昇させることを昇圧(しょうあつ)、逆に下降させることを降圧(こうあつ)という。 一次側に入力されるエネルギと二次側から出力されるエネルギーは同じである。そのため、昇圧させれば電流は減る。 |
[05]予備電源変圧器とは? 予備変圧器は発電所の発電を停止させる場合、必要な所内電源を確保するために、発電所外から電圧を変えて電気を取り込む装置です。 |
[07]2号機の主変圧器には送電、受電の両機能がある? 2号機主変圧器の放圧板の動作及び噴霧消火設備の起動を確認しました。またこれにより、自動的に予備電源変圧器へ切り替えられております。 とあるが、2号機は停止中であり、主変圧器は使用されていないはずなので、予備電源変圧器に切り替える必要がないのではないか。2号機の主変圧器には送電、受電の両機能があることを意味するのか? |
[08]放圧板とは? 放圧板※は、変圧器の内部短絡事故による発生ガスなどでタンク内の圧力が規定圧力以上に上昇した ときに、ガスを排出することで事故の拡大を防止する目的の装置である。 また、放圧板はその仕組み上、地震により 250〜□ gal 程度の加速度が加わった場合に油の衝撃圧 の影響で動作する可能性がある。具体的な動作原理は、変圧器内は絶縁油で満たされているため、地震 の揺れが絶縁油の運動エネルギー(衝撃圧)となり、放圧板に圧力がかかることにより、放圧板が膨ら み保護カバーを押し上げる。その後、保護カバーを押し上げる力が一定程度を超過すると、安全ピンが 破断することで保護カバーが開き、放圧板がさらに膨らみ、放圧板が割れる状況に至る。(図1参照) 今回の地震(1号機原子炉建屋地下2階 399.3gal(合成方向))により、上記状況に至り、放圧板の 動作に至ったと推定している。 ![]() 放圧板動作概要図 以上 枠囲みの内容は機密事項の観点から公開できません。 |
[09]変圧器の絶縁油とは? 1. 電気絶縁油の用途と種類 電気絶縁油は変圧器、ケーブル、コンデンサーなど電気機器の絶縁および冷却の役割を果たすもので、古くから多量に使用されており、絶縁材料としては重要なものの一つである。 2. 変圧器油、遮断器油 変圧器は最も大量に絶縁油を使用する電力用機器で、小さいものでは柱上変圧器から、大きいものだと超々高圧大容量変圧器まで鉱油系絶縁油が一般に使われている。 大容量変圧器は、隔膜式により大気と遮断されているために油は酸化劣化しにくく、熱安定性や電気特性が重視される。また、冷却のため絶縁油が強制的に循環されることから変圧器内部で流動帯電現象が生じる恐れがあり、流動帯電抑制剤としてベンゾトリアゾールが添加されることが多い。 |
[10]絶縁油に必要な特性は? 絶縁油(ぜつえんゆ)は、液状の絶縁体材料のひとつ。日本工業規格 (JIS C 2320) では電気絶縁油として詳細に規格化されている。 絶縁油は多くの電力機器の絶縁材料として用いられ、次のような特性を備えていることが求められる。 絶縁耐力が大きいこと。 粘度が低いこと。 引火点が高いこと。 凝固点が低いこと。 機器を侵食しないこと。 電気的、化学的に安定していること。 かつて上記要件をよく満たすPCB(ポリ塩化ビフェニル)が用いられたが、発がん性等の有毒性が指摘され近年は使用されることはない。 |
[11]変圧器の許容最高温度は? 耐熱クラス 変圧器を構成する絶縁材料の耐熱特性による分類。 105 (A) ・120 (E) ・130 (B) ・155 (F) ・180 (H) ・200・220・250の種類がある。それぞれ105 - 250℃が許容最高温度である。絶縁材料は、許容最高温度を長時間連続持続して超えてはならない。 |
[12]絶縁油の発火点・引火点は? ID-087 電気絶縁油の発火点について 石油製品は可燃性物質であり、製品の引火点は使用上非常に重要な要素(消防法等)となっています。 引火点・燃焼点・発火点の相違を表1にまとめました。 表1 引火点・燃焼点・発火点の定義と試験方法 引火点 試料を加熱して、小さな炎を油面に近づけた時、せん光を発して瞬間的に燃焼する最低の温度。 『試験方法:JIS K 2265−1996』 発火点 試料を加熱した時、花火や火炎を接触させなくても自然に燃焼を開始する(発火する)最低の温度。 『試験方法:ASTM E 659−78』 ----------------------------------------------------------------- 油種名 引火点(COC)℃ 発火点℃ ----------------------------------------------------------------- 電気絶縁油(パラフィン系) 138 約320 電気絶縁油(ナフテン系) 146 約320 タービン46 236 約360 ----------------------------------------------------------------- |
[13]コーストダウンとは? (1)ポンプのコーストダウン。ポンプの電源を切ってもフライホイルの慣性力によりポンプ軸の回転数が徐々に落ちていくことをポンプのコーストダウンと呼んでいる。原子炉の安全解析では、原子炉冷却材喪失事故では計算上ポンプのコーストダウンを考慮するが、原子炉冷却材ポンプ軸固着事故では計算上ポンプのコーストダウンを考慮しない。 (2)原子炉のコーストダウン運転。原子力発電所で炉心サイクル末期になって、燃料の燃焼がほぼ終えて定格出力運転ができなくなった後も、徐々に出力を低下させていく原子炉の運転をいう。核燃料の有効利用と定期点検時期の調整が容易な点で、メリットがあるといわれる。 |
[14]アーク放電とは? Wikipediaの 電弧 (アーク放電)の説明によれば 電弧(でんこ)、電弧放電(でんこほうでん)、または、アーク放電は、電極に電位差が生じることにより、電極間にある気体に持続的に発生する絶縁破壊(放電)の一種。負極・正極間の気体分子が電離しイオン化が起こり、プラズマを生み出しその中を電流が流れる。結果的に、普段は伝導性のない気体中を電流が流れることになる。この途中の空間では気体が励起状態になり高温と閃光を伴う。 電弧放電は、基本的に低電圧、高電流の状態で発生する。 電流又は電場で非直線状の様々な形の電弧が生成される。二つの電極の間の気体の場に起こり、高い温度を発生する。この温度は、時に金属を溶かし、蒸発させる程度に高くなる。スパーク(英語版)放電は瞬間だけの放電であるが、電弧放電は連続的に放電される。 |
[16]コンサベータとは? 変圧器には巻線冷却用として絶縁油が充填されているが、負荷状況による加熱冷却によって絶縁油が膨張・収縮を繰り返すと、変圧器の内部には呼吸するように空気の出入りが発生し、これを呼吸作用という。 呼吸作用によって変圧器内部に空気が流入すると、空気中に含まれる水分と絶縁油が接触し絶縁油が酸化してしまうため、絶縁性能など電気特性の劣化につながる。 呼吸作用の発生によって変圧器内部の絶縁油劣化を防ぐため、絶縁油の劣化を防止することを目的としてコンサベータを使用する。変圧器にはコンサベータ一体型とコンサベータ別置型がある。 コンサベータ内部は変圧器と同様に絶縁油で満たされるが、上部に空気袋が収容されており、絶縁油が膨張すると空気袋から吸湿呼吸器を通して外部に排出される。絶縁油が収縮すると、吸湿呼吸器から外気が空気袋に流入する。 このようにコンサベータを活用することで、変圧器内部で絶縁油と空気が接触することがなくなり、絶縁油劣化を抑制できるという利点がある。 |
[17]耐震クラスCとは? 原子力発電所の施設の耐震設計上の重要度を、地震により発生する可能性のある環境への放射線による影響の観点から、施設の種別に応じて分類したもの。重要度はS、B、Cの3クラスに分類され、それぞれ以下の機能が求められている。 Sクラスは、自ら放射性物質を内蔵しているか又は内蔵している施設に直接関係しており、その機能そう失により放射性物質を外部に放散する可能性のあるもの、およびこれらの事態を防止するために必要なもの、並びにこれらの事故発生の際に外部に放散される放射性物質による影響を低減させるために必要なものであって、その影響の大きいものとする。 Bクラスは上記において、影響が比較的小さいものとする。 CクラスはSクラス、Bクラス以外であって、一般産業施設と同等の安全性を保持すればよいものとする。この定義に基づき、各クラスに該当する施設が決められている。例えば、Sクラスには「原子炉冷却材圧力バウンダリ」を構成する機器・配管系、使用済燃料を貯蔵するための施設、原子炉の緊急停止のための施設などが含まれる。 |
[18]放熱器とは? ラジエーター(英: radiator)とは、液体や気体の放熱をする装置である。冷却水や潤滑油の冷却に用いられる場合や、温水や蒸気を熱源とした暖房に用いられる場合がある。ラジエータ、ラジエターとも。 ラジエーターは熱交換器の一種であり、冷却対象の流体や熱源の流体を内部に流し、周囲の空気や水に熱伝導を利用して放熱する。したがって管を基本構造とし、限られた空間で表面積を大きく獲るために蛇行させたり、複数の細管に分岐させたり、管の外壁に放熱板を設けたりといった手段が用いられる。 志賀原発の放熱器は以下の写真の右下部分にある。 ![]() |
[19]ブッシングとは? |
[20]フィンとは? 熱工学におけるフィン(英: fin)とは、熱交換の効率を上げることを目的として、伝熱面積を広げるために設けられる突起状の構造である。エンジン、原子力あるいは火力発電所の各伝熱要素、空調機器、化学プラント、電子機器の冷却、各種熱交換器など、伝熱がかかわる機械にはたいてい何らかの形のフィンが設けられている。 |
[21]構造解析とは? 構造力学(こうぞうりきがく、英語:structural mechanics)は連続体力学の一分野であり、橋梁、建築物、ヴィークル類などの構造物が荷重を受けたときに生じる応力や変形などを解析するための力学。 |
[22]共振とは? 共振(きょうしん)は、エネルギーを有する系が外部から与えられた刺激により固有振動を起こすことである。特に、外部からの刺激が固有振動数に近い状態を表す。共鳴と同じ原理に基づく現象であるが、電気や固体については「共振」の語がよく用いられる。 |
[23]延性破壊とは? |
[24]過大な荷重を受けた金属材料のディンプル(くぼみ)とは? 材料が大きな塑性変形を受けた場合,介在物や析出物などの第二相粒子を核として微小空洞が発生し,変形が進むに連れて成長,合体して破壊にいたる.破面には成長あるいは合体した微小空洞がくぼみとして残されるが,このくぼみをディンプルという |
[25]固有値解析とは? 固有値解析は構造が持っている振動的な特性を求める解析手法です。ここでいう振動的な特性とは固有振動数、固有モードです。 固有値解析では、あくまで振動的な特性を求めますので入力荷重はありません。したがって解析結果として固有モードの変形形態を見ることができますが、変形量自体に意味はありません。変形を表すための相対的な位置関係は評価できますが、絶対的に何mm変位しているとは言うことができません。この辺を勘違いしやすいですので気を付けてください。 また、減衰を考慮することもできません。過度な減衰は固有振動数にも影響しますが、通常の固有値解析では減衰がない状態での固有振動数と固有モードのみしか求めることができません。 |
[26]剛構造とは? A.耐震・免震・制震の3つに分かれる。 耐震構造には「剛構造」と「柔構造」の2種類があります。ひとつは建物を壁や梁を強固に接合することによって、強い圧力に対しても変形しない「剛構造」、もうひとつは建物にある程度の変形能力を与えた「柔構造」です。また、地震に対しては耐震構造以外にも、免震構造や制震構造があります。ここでは、それぞれどのような構造なのかを詳しく紹介していきます。 剛構造 堅固な基礎と、圧力に強い柱・梁などでしっかりと固定された構造で、地震や風などによる外圧にも建物自体が変形しにくく、建物全体が地盤とともに揺れるようになっています。 しかし、この構造を高層ビルなどに用いると、建物自体が変形しないため下層階に比べて上層階の揺れが激しくなってしまいます。そのため、低層・中層の建物に利用されています。 |
[27]静的水平加速度とは? 動的地震力 時々刻々と変化する地震動を建屋モデルに入力し、最大応答値を考慮 静的地震力 建築基準法で定められた静的地震力の3倍(3Ci)を考慮 |
[28]疲労破壊とは? 材料に繰返し応力がかかることで、表面または内部の欠陥や割れなどを起点として小さい割れが徐々に進行し、最終的に構造物が破壊する現象。 |
[29]「経年劣化6事象」とは? 高経年化対策上抽出すべき主要6事象 ・低サイクル疲労 ・中性子照射脆化 ・照射誘起型応力腐食割れ ・2相ステンレス鋼の熱時効 ・電気・計装品の絶縁低下 ・コンクリート構造物に係る強度低下及び遮蔽能力低下 |
[30]低サイクル疲労とは? 低サイクル疲労の特徴 大型構造物の部材などが降伏点を超える大きな応力あるいはひずみの繰返し荷重を受けて疲労破壊することがあります。構造物が受けるこのような過大荷重によって10の4乗から10の5乗程度のサイクルオーダー以下の繰返し数で破断するような大きな応力振幅条件下では、応力に対するひずみ成分に塑性ひずみ成分が含まれており、この寿命領域での疲労破壊現象を低サイクル疲労と呼びます。 また、高温機器においては機器の起動・停止に伴って部材に発生する熱応力が材料の降伏点を超えることがあり、この場合の疲労現象も低サイクル疲労となります。(後略) |
[31]筋交いとは? 筋交い(すじかい)とは、柱と柱の間に斜めに入れて建築物や足場の構造を補強する部材である。「筋交」「筋違」「筋違い」とも表記され、ブレース (brace) とも呼ばれる。 構造体の耐震性を強める効果があり、建築基準法では一定の割合で筋交いを使用することが義務づけられている(梁と梁、耐力壁で十分な強度が発揮できる場合は除く)。柱と梁の形づくる長方形は、接合部の強度に余裕がないと、地震や暴風などの水平力を受けたときに平行四辺形にひしゃげるように変形してしまう。そこで、対角線状に筋交いを加えて三角形の構造を作り、変形を防止するわけである。 |
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