[2024_01_21_03]富山の津波、海底地滑りか 最初の観測、解析より早く(日刊スポーツ2024年1月21日)
 
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富山の津波、海底地滑りか 最初の観測、解析より早く

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 能登半島地震で1日に各地で観測された津波のうち、富山市で最初に観測された津波は、富山湾の海底で発生した地滑りによるものだった可能性があることが21日、東北大の今村文彦教授(津波工学)や徳島大の馬場俊孝教授(地震学)への取材で分かった。今村氏は「富山への到達が早く、地滑りでなければ説明がつかない」としている。
 海底地滑りは、海底の斜面が地震などで崩れる現象。断層のずれと異なり、揺れは生まないが海底で土砂が移動し津波を発生させる。
 今村氏は、国土地理院が地殻変動のデータから作成した震源断層モデルなどを使って津波の動きを解析。第1波が石川県珠洲市に約1分、七尾市に約2分、富山市に約5分で到達したとの結果が出た。馬場氏のシミュレーションでは富山市への到達は20分程度だった。
 一方、気象庁によると、1日午後4時10分ごろの地震発生に対し、富山市での第1波観測は同13分。より震源に近い七尾市では同37分だった。今村氏は「断層のずれに基づく津波のシミュレーションでは、富山市の第1波の早さを説明できない」と指摘。18日にオンラインで記者会見した馬場氏は「(震源間近の)輪島市や珠洲市と同じタイミングで富山に到達している。奇妙な現象だ」と話した。
 今村氏によると、富山湾の海底では、流れ込むさまざまな規模の河川によって運ばれた堆積物が水深の深い谷に入り込み、不安定な状態にある。こうした地形の特徴や、第1波が水位の下がる引き波だったことから、地滑りが起きたと推定されるという。
 馬場氏は5〜9日に津波の痕跡を現地調査し、富山湾に面した七尾市や富山県氷見市で、シミュレーションよりも高い津波が到達したことを確認した。海底地滑りが局所的に津波を増幅させた可能性があるとみている。
 今村氏は「(津波の)規模が大きければ避難しづらい状況だった。南海トラフ地震が懸念される紀伊半島沖や駿河湾も同様の地形で、同じことが起きる恐れがある」と指摘する。(共同)
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