[2024_01_03_11]「大津波警報は過大予測では?」の声に専門家は警鐘 過去には同規模地震で5m超、犠牲者100人も(東京新聞2024年1月3日)
 
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「大津波警報は過大予測では?」の声に専門家は警鐘 過去には同規模地震で5m超、犠牲者100人も

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 気象庁は1日夕の地震発生当初、大津波警報(5メートル)を発表した。だが、実際に観測された津波は輪島港(石川県)の「1.2メートル以上」が最大で、その他の観測点はいずれも1メートル未満だった。「予測が過大だったのでは」との声も少なくないとみられるが、専門家は「過去に日本海沿岸域で発生した同程度の規模の地震でも、数メートルの大津波が起きた。今回の地震も、動いた断層の位置によっては、より大きな津波になった可能性がある」と警鐘を鳴らす。

 ◆直後の大津波警報発表、やむを得ない

 大津波警報は3メートル超の津波を予測した場合に出す。予想の最大波が5メートル以下なら「5メートル」と上限を示し、さらに大きいと「10メートル」や「10メートル超」と表記する。
 今回の地震の規模はマグニチュード(M)7.6。1964年の新潟地震(M7.5)では、3〜5メートルほどの津波が沿岸部に押し寄せている。83年の日本海中部地震(M7.7)でも秋田・青森県沿岸部を中心に最大5〜6メートルの津波が襲来し、津波による犠牲者だけで100人に達した。
 能登半島の北岸の沖合には北東ー南西方向に走る海底断層があるとされる。一方、能登半島先端部では2020年末ごろから地下水が関与するとみられる群発的な地震活動が続く。群発地震が海底断層の活動を誘発して大きくずれ動けば、津波を伴う大地震が起きることも懸念されていた。
 吉田明夫・静岡大客員教授(地震学)は「(どこでどのような断層が動いたか、すぐには正確に分からない)地震直後に大津波警報を発表したことは、やむを得ない。おそらく今回の地震で生じた断層は、想定されていた海底断層でなく、能登半島の直下を縦断するような断層だったために、津波の原因となる海底の地殻変動が想定より小さく済んだのではないか」と指摘する。(宇佐見昭彦)
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