[2024_01_03_06]能登半島地震の引き金は「地下の水の上昇」か 専門家が「日本海側最大級」の揺れをもたらしたものを分析(東京新聞2024年1月3日)
 
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能登半島地震の引き金は「地下の水の上昇」か 専門家が「日本海側最大級」の揺れをもたらしたものを分析

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 石川県能登地方では、3年以上にわたって同じ地域で断続的に発生する「群発地震」が続き、地下からの水の上昇が地震を誘発していると考えられていた。専門家は、最大震度7を観測した能登半島地震も水の上昇が引き金となった可能性を指摘する。震源近くの断層だけでなく元々ひずみがたまっていた周辺の断層も連鎖的に破壊され、極めて強い地震になったとみている。(小沢慧一、榊原智康)

 ◆震度1以上の地震が3年間で500回以上

 能登半島地震のマグニチュード(M)は7.6。群発地震で最も大きかった2023年5月の地震はM6.5(最大震度6強)で、今回は地震のエネルギーにすれば30倍以上になる。「日本海側で起きる地震の規模としては最大級」と、京都大防災研究所の西村卓也教授(測地学)は説明する。
 能登半島では20年12月から地震活動が活発になり、23年12月末までに震度1以上の地震が506回発生した。西村教授は「地下から水が上昇し、断層が滑りやすくなっていた」と分析する。
 気象庁などによると、これまでの群発地震の震源域は能登半島先端部の20〜30キロだった。これに対し、能登半島地震が起きた1日夕以降に起きた地震の震源域は、能登半島の西側から北東方向に延び、佐渡島の西側海域までの約150キロに拡大した。

 ◆ひずみがたまっていた周辺の断層が「連鎖的に破壊」

 西村教授によると、一般的に群発地震でこれだけ大きな地震を引き起こす例は珍しいという。「群発地震が引き金となっているのは確かだが、それだけでは規模が大きすぎる。元々ひずみエネルギーがたまっていた周辺の断層が連動し、連鎖的に破壊された結果、今回の規模になったのだろう」と話す。
 東京工業大の中島淳一教授(地震学)は「震源地は陸地の地下だが、動いた断層の範囲は海域に及んでいるため、津波が発生した」とみる。地下からの水については「太平洋プレートを起源にするものだろう。能登半島の地下深くまで沈み込み、温度や圧力が高くなってプレート中の水が放出されたと考えられる」と語った。
 気象庁によると、1日夕以降、2日午後6時までに震度1以上の地震は218回発生した。中島教授は、「少なくとも1週間程度は今回と同規模の地震が起きる可能性がある」と指摘。長期的な見通しについては「地下からの水の供給が止まれば活動は落ち着くとみられるが、これまで3年以上、群発地震が続いている。すぐには収束しないかもしれない」と警戒を呼び掛けた。
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