【記事67770】島根で震度5強 M6.1 5人負傷、1100世帯断水(毎日新聞2018年4月9日)
 
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島根で震度5強 M6.1 5人負傷、1100世帯断水

 9日午前1時32分ごろ、島根県西部を震源とする強い地震があり、同県大田市で震度5強を観測した。隣接する出雲市などで震度5弱、中四国地方の広い範囲でも震度4を記録した。気象庁によると、震源の深さは約12キロで、地震の規模を示すマグニチュード(M)は6・1と推定。県などによると、大田、出雲両市で男女5人が骨折などの重軽傷を負った。
 県西部を中心に早朝まで震度4を4回観測するなど断続的に揺れが続いている。中国電力などによると、島根原発(松江市)と伊方原発(愛媛県伊方町)に影響はなかった。
各地の震度
 大田市内では水道管の破裂が約40カ所で確認され、午前11時現在、約1100世帯が断水した。建物や道路の破損も確認され、市は県を通じて自衛隊に災害派遣を要請した。同市が市内の小中学校など計50カ所に設けた避難所には、188人が一時避難した。
 JR西日本によると、山陰線では大田市内で線路下の敷石が崩れて線路が沈み、修繕のため一部区間で始発から運転を見合わせるなど、ダイヤが乱れた。
 一方、西日本高速道路などによると、中国地方の高速道路では大きな影響はなかった。【柴崎達矢、根岸愛実、前田葵】

鳥居倒壊、道路ふさぐ

 9日未明、島根県西部を襲った地震では、同県大田市内を中心に建物や道路の一部が損壊する被害が出た。住民は学校などに一時避難し、「怖くて動けなかった」と、不安な表情で朝を迎えた。
 JR山陰線大田市駅から北東約4キロの苅田神社は、コンクリート製の鳥居が崩れ道路をふさいだ。「こんな地震は初めて」。近くで居酒屋を営む窪田富士雄さん(66)は驚いた様子で「店はガラス戸が倒れ壁や床にひびが入った。当分営業は無理」と困惑していた。
 市中心部のコンビニエンスストア「ローソン大田長久店」では商品が散乱。寺本俊介店長(34)は「これから片付けないと」と疲れた表情だった。市立志学中学校体育館に設置された避難所は住民ら約30人が集まった。和田徹さん(61)は「ドーンと地鳴りのような音がし動けなかった」と振り返る。市立病院外来は救急など一部を除き休診に。訪れた男性(77)は「予約していたが入れなかった。すごい地震だったから仕方ない」と話した。
 出雲大社(同県出雲市)の建物に被害はなく、大田市山間部にある世界遺産の「石見(いわみ)銀山遺跡」は、坑道跡の崩落などがないか確認を進めている。大田市消防本部によると、市内22の小中学校にはガラスが割れる被害などがあり、この日全て休校。予定されていた入学式も延期された。【柴崎達矢、根岸愛実】

新手法で緊急地震速報 震源推定せず

 気象庁は今回、「緊急地震速報」で使う震度予測で新たな手法を初めて使った。広い震源域を持つ地震でも、高精度の震度予測が可能になる「プラム法」と呼ばれるもので、3月22日から運用を始めていた。
 従来のように震源や規模の推定はせず、各地の地震計が観測した実際の揺れの強さから直接、後に揺れる別の地点の震度を予測する仕組み。2011年の東日本大震災で、震源から離れた関東地方でも強い揺れを観測したが、警報を出せなかった教訓を踏まえて開発された。
 気象庁は新旧両手法による予想のうち、震度の大きい方を採用して発表する。担当者は「M8以上の地震で効果を発揮するだろう」と話している。【松本光樹】

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