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社説 泉田氏出馬意向 原発へのスタンスが焦点

 泉田裕彦知事は、今秋の知事選に4選を目指して出馬する意向を表明した。

 県議会2月定例会本会議で、最大会派である自民党などの代表質問に産業政策や医療、教育といった成果を挙げ「いま一度県民の皆さまに信を問いたい」と答えた。

 最大の焦点となるのは、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題へのスタンスだ。

 現在、福島第1原発事故を教訓に定めた新規制基準に適合しているかどうか、原子力規制委員会の審査が続いている。知事選より前に一定の結論が出る見通しだ。

 知事はこれまで「福島事故の検証と総括がなければ、再稼働の議論はしない」という趣旨の発言を繰り返してきた。

 福島事故をめぐっては近く、東電の旧経営陣3人が業務上過失致死傷罪で、強制起訴される見込みだ。東日本大震災に伴って起きた巨大津波を具体的に予測できたかどうかが、これから裁判で争われることになる。

 東電が、事故当時の社内マニュアルに明記してあった「炉心溶融(メルトダウン)」の判断基準を5年間見過ごしていたことも明らかになったばかりだ。

 なぜ、福島事故で活用されない事態に陥ったのか、東電は第三者を交えた調査に乗りだす。

 福島事故をめぐる検証はまだ道半ばといえる。

 ところが、同じ代表質問の中で知事は「再稼働の議論ができないとは、これまでも言っていない」「観念的に脱原発と申し上げたことはない」と述べた。

 とりわけ、再稼働の議論についての答弁は、従来の姿勢からの転換と言っていい。過去の発言との整合性が問われることになろう。

 一方で、政府が世界最高水準としている新規制基準について「世界最高水準ではない」と、1月の会見で批判している。

 原発や再稼働への考え方が分かりづらいとの指摘も出てこよう。県民にもっと分かりやすく、丁寧に説明し、政策の選択肢として示す必要があるのではないか。

 焦点はまだある。選挙や県政運営で最大の後ろ盾となってきた自民党の動向だ。

 本紙が昨年12月、全県議を対象に実施したアンケートで、自民党議員の半数近くが4選に「不支持」の意思を示した。

 「多選の弊害」とともに不支持の理由とみられるのが、福島事故の検証と総括が先との姿勢を取り続けてきた知事の態度だ。

 自民党側の厳しい受け止め方は、詰問口調だった代表質問にも見て取れる。

 質問では「審査で適合が認められ、安全と安心が確保されたものは再稼働を行うべきだ」などと、党の考えをあらためて強調する場面があった。

 再稼働に関する知事の答弁は、こうした自民党の動きや意向を踏まえて、「軌道修正」を図った可能性もある。

 自民党は知事選への対応を「白紙」としている。原発再稼働を軸にした知事、自民党双方の動きを注視したい。

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