[2023_02_14_01]規制委員会「原発60年超運転容認」多数決?=採決はしてないゾ! 2/13原子力規制委員会(第72回)の傍聴報告 「高経年化した発電用原子炉に関する安全基準の検討(第9回)」 原発の60年超運転反対! 松元成一(たんぽぽ舎運営委員)(たんぽぽ2023年2月14日) |
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◎ 今回の会議は、前回(2月8日)の会合で、石渡委員が反対表明をして正式決定が先送りになり、「臨時委員会」として開かれたのです。 冒頭から資源エネ庁提案の「運転停止した期間は60年にカウントしない。」が焦点になりました。 技術的意見について、石渡委員は「アテナ(ATENA※)との懇談6回では聞いたことがない。論議してない。確固とした認識がない。」と主張。 田中委員は、規制委員会が停止命令を出せるのは、電気事業法一部改正法に書いてある。それは、「許可を受けずに延長運転をした場合」という至極いい加減な物言いで、意味不明。 各委員発言のポイントは次の様でした。 石渡委員: 高経年化意見のまとめについてATENAとの協議には出されていない。(話し合ってない)何年延長できるかは、原子炉によって一律には決められないので、炉規法(原子炉等規制法)の延長にならない。40年で審査するのであって、60年目に何をするかは決まっていない。見通し・方針を現時点で決めるべき。 設計が古く、ATENAの資料では部品の古さに対策が考えられていない様だが、古い物の障害は避けられない。 30年経過後は10年毎検査としか書いてない。審査上の不備・検査の期間も延長になるのか、我々の責任ではなく事業者の責任なのに、延長OKはおかしい。 中断期間も延長期間のカウントになる。 杉山委員: 運転期間は政策的なので規制委員会の論議ではないが、停止期間も劣化は進む。40年30年という数字では考えていない。 古い設計の物を新しい基準で考えるのはおかしい。規制委員会のやり方ではない。40年の前に20年延長認可の判断は、審査不十分でおかしい、変だ。説明が足りない。 基準を厳しくする事によって古い物を規制する。今からでもやる必要がある。劣化は各原子炉一律ではない。科学的に判断する。 令和2年7月29日の見解は、政策上の判断であって我々がすべきではない。現状40年で安全をしっかり判断すべき。40年超えて10年毎判断はいい。 60年超えて、海外の物の機能を入れていいか。後付けでは今の炉がダメになるかも。我々が審査する事になる。 10年毎の評価は劣化の評価だけであり、全体像がない。基準は炉規法でなく、その他の基準だ。運転中よりも停止中の方が劣化する。 どんな理由で運転しないかは関係ない。運転期間のカウントは、2年前と違っていない。(山中委員長は、2年前と根本から食い違うと主張) 伴委員:カウントの仕方については、科学的見地から何年がいいか一律には決められない。40年が何だったのかの評価は、立ち止まってきめ細かく見ていくべき。40年が特別な物ではなく、35年でもダメなものはダメ。60年超えての性能規定はない。海外の物を使ったツギハギで良いのか。 田中委員:(ゴモゴモ言うだけで何を言っているのか分かりません) 厳正に審査行う。 ◎ 山中委員長は、延長は審査を厳重にするから問題ないとしました。 しかし田中を除いた3委員は問題点をそれぞれ指摘しているのに、委員長は恣意的に論点を合わさない卑怯なやり口を通しました。 そして、締め切りを口にし結論を急ぎ、最終判断を各委員に求めました。 (山中委員長)石渡委員と食い違う。改めて賛否を問う (田中)これでいい。 (山中)これでいい。 (杉山)何が書いてあるかはOKだが、説明が圧倒的に足りない。限られた時間の中で。パブコメも伝わっていない。今からでも資料を出して。 決めるのに当たって締め切り守ると言うのもおかしい。我々の中でゆっくり論議すべきだ。外圧に巻き込まれるべきではない。 (伴)合理的に考えて了承。50年後どうするかがフワッとして違和感がある。 (石渡)科学的見地に基づいていない。審査不足。反対。 ◎ 結局、採決は取りませんでした。新聞・TVは「多数決で容認」と、報道しています。果たしてこれを多数決と見て良いのか? 石渡委員は明確に「反対」。杉山・伴委員は、「論議が足りない」としていることが明白。 継続審議になりそうな雰囲気だったが、山中委員長が「決定」と言い放ち終了しました。ゴリ押しです。 ◎ こんないい加減な決め方は絶対に容認できません。 私たち住民の命の問題です。廃炉が決定した原発以外の殆どの原発は、欠陥が見つかったり重要部品の交換もままならないまま、再稼働か審査待ち、放置なのです。 科学的・技術的に審査すると、田中委員以外は主張。論議不十分なまま「閣議決定」へ持ち込むという大変に姑息な運営でした。 苦しくも、「論議・説明が足りない」「違和感がある」と言う意見は本音でしょう。 閣議決定ではなく、衆参の本会議に委員を呼び規制委員会の運営について問い正すべきです。 そして、国会でまともな論議の上、命をどう守るのかという観点で、原発運転延長の問題点を明らかにすることが最重要です。 「高経年化」「劣化」と言う表現が何回も出ました。という事は、「老朽化」の認識を規制委員会が持っているという証に外なりません。 ◎ 2011年3・11の東北地方太平洋沖地震以降も大きな地震が各地で起こっています。 活断層の上にあったり構造線上にあったり、日本列島という軟弱岩盤に54基も原発が建っています。 いい加減な審査理念で判断して大地震により事故が起きることは予想にかたくありません。責任をどう取るのか全くひどい話です。 こんなことでは、差し迫った東海第二原発の再稼働を許せる訳がありません。不安は強まるばかり、全く無責任な規制委員会を糾弾します。 ※ATENA『原子力エネルギー協議会』は、福島第一原発事故後、二度と事故を起こさない意思の下に設立された。電気事業連合会・日本電機工業会・電力中央研究所・日本原子力産業協会の4団体から成る。 ☆参考記事 「規制委 役割果たせ」入居ビル前抗議 原発の60年超運転に向けた新たな規制制度を決めた原子力規制委が入る東京都港区のビルの前には、制度改正に反対する市民らが「規制委は役割を果たせ」と抗議の声を上げた。 再稼働阻止全国ネットワーク、原子力規制委員会毎水曜昼休み抗議行動、原子力規制を監視する市民の会の3団体が集まった。 政府が目指すのは、原発の再稼働に向けた審査や司法判断などで停止した期間を運転期間から除外することで、事実上、60年超運転を可能にすることだ。 再稼働阻止ネットの共同代表、柳田真さん(82)は「休んでいた期間を十数年、延長したら70年になる。地震国の日本で、大事故を着々と準備する道になる」と訴えた。(後略) (2月14日「東京新聞」朝刊27面より抜粋) 詳しくはこちらを https://www.tokyo-np.co.jp/article/230989 |
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