[2007_03_26_02]石川で震度6強 1人死亡189人けが 175棟被害、2500人が避難 激甚指定を検討 防災担当相 津波注意報は1分40秒後に 「緊急速報を利用」(東奥日報2007年3月26日)
 25日午前9時42分ごろ、北陸を中心に強い地震があり、石川県の七尾市、輪島市、穴水町で震度6強、志賀町や能登町などで震度6弱、珠洲市で震度5強を観測した。富山、新潟両県で震度5弱。午後6時11分ごろには、輪島市や穴水町で震度5弱の余震があった。有感の余震は130回を超えた。
 輪島市内で女性一人が死亡。総務省消防庁によると、石川、富山、新潟の三県で計189人が負傷した。石川県では住宅中75棟が全半壊し、輪島市を中心に石川県で住民約2500人が避難。能登地方では、国道などでがけ崩れや陥没が相次いだ。
 気象庁によると、震源地は輪島市の南西約30キロの能登半島沖で、震源の深さは約11キロ、地震の規模はマグニチュード(M)6.9と推定される。石川県の能登、加賀の沿岸に一時、津波注意報が発令され、一部で10ー20センチ程度の津波を観測した。
 気象庁は、「今後一週間程度の間、最大震度5強の余震が起きる可能性がある。可能性は高くないが、場所によっては6弱の余震になることもあり得る」と警戒を呼び掛けた。石川県は輪島市など三市4町に災害救助法適用を決めた。
 石川県警によると、輪島市鳳至町上町(ふげしまちかみまち)の宮腰喜代美さん(52)が自宅の庭で灯籠(とうろう)の下敷きになり死亡。このほか、崩れたブロック塀の下敷きになったり、割れたガラスで手を切ったりして、各地で骨折や打撲などの重軽傷者が出た。
 石川県によると、輪島市や能登町などで計約1万3000戸が断水。北陸電力によると、石川、冨山両県で計約16万戸が一時停電した。志賀町の志賀原発1、2号機は運転していなかったが、緊急停止に相当する揺れの強さを記録したという。
 石川、冨山両県内のJRは全線で運転を見合わせ、上越新幹線も一部区間で運転を見合わせた。石川県の能登空港は滑走路や誘導路に複数のひび割れが見つかり閉鎖。七尾港では臨港道路に長さ約20メートルの亀裂が入り、埠頭(ふとう)用地では液状化現象も発生した。

激甚指定を検討 防災担当相

 安倍晋三首相は25日、能登半島沖地震の発生を受け、溝手顕正防災担当相を団長とする政府調査団を現地に派遣した。同日夕、航空自衛隊輪島分屯基地(石川県輪島市)に到着した溝手氏に対し「現地の状況を把握し、住民が安心して暮らせるよう地元自治体と連携し適切に対処してほしい」と電話で指示した。
 一方、現地を視察した溝手氏は激甚災害の指定を検討する考えを示した。
 政府はこれに先立ち午前9時45分、首相官邸の危機管理センターに官邸対策室を設置。首相は地震発生直後、都内の私邸で秘書官から連絡を受け「塩崎恭久官房長官を中心に、被害状況と住民の安否の確認に万全を期してほしい」と指示、その後に官邸に隣接した公邸に移り待機した。官邸では塩崎氏、的場順三官房副長官、野田健内閣危機管理監らが集まって、被害状況の情報収集などに当たった。

津波注意報は1分40秒後 「緊急速報」を利用

 25日の石川県・能登半島沖地震で、気象庁は初めて、大きな揺れの直前に予想震度を出す「緊急地震速報」のシステムを津波予想に利用し、地震発生から約1分40秒で津波注意報を出すことができた。緊急地震速報は、地震の初期微動(P波)をとらえ、予想震度を自動的に計算する。放送などを通じて広報する本運用は今秋以降になるが、昨年10月から、検知したP波を津波情報に生かすシステムを稼働している。
 25日の地震は発生が午前9時42分、津波注意報が出たのは同43分で、約1分40秒後。目標としていた「地震から2分以内」を達成した。津波の第一波到着(微弱)は午前10時12分。
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