[2023_11_22_08]【川内原発40年超運転問題】規制庁職員、鹿児島県側へ審査内容説明 反原発派は「アリバイ作り」と批判(南日本新聞2023年11月22日)
 
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【川内原発40年超運転問題】規制庁職員、鹿児島県側へ審査内容説明 反原発派は「アリバイ作り」と批判

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 鹿児島県原子力専門委員会が21日、鹿児島市であった。20年の運転延長が認可された九州電力川内原発1、2号機(薩摩川内市)を巡り、原子力規制庁職員が審査内容を説明。委員から目立った異論は出ず、「厳密に審査された」などと評価の声が上がった。
 会終了後、塩田康一知事は「丁寧に説明してもらった。運転延長の安全性が評価されたと思う」と述べた。今回の専門委での議論や28日に開会する県議会の動向などを踏まえ、県としての考えを示す方針。
 全12委員のうち11委員が出席(オンライン含む)。原子力規制庁の渡邉桂一安全規制管理官らが、原子炉格納容器やコンクリート構造物の劣化状況を調べる特別点検などの結果を示し、「有意な欠陥や劣化は認められなかった」とした。
 安全性向上を求める県の要請書にも回答。「リスクは決してゼロにならないという認識のもと、安全が確実に担保されるよう努力する」と強調した。委員から経年劣化事象を6項目に絞っている点を問われ、「長期的な観点で見る必要がある事象として6項目を挙げている」と答えた。
 九電も要請への回答を説明。評価手法の高度化や国内外の知見の反映、専門人材の育成などに引き続き取り組むとした。地震動の見直しや火災防護対象ケーブルの系統分離対策も報告した。
 地頭薗隆座長は規制庁と九電の回答について「要請に応える形となっている。将来に関わる事象も多く、継続的に説明してほしい」と求めた。
 原発の現行制度の運転期間は原則40年。川内1、2号機はそれぞれ24年7月、25年11月に期限を迎える。九電は22年10月に、20年の運転延長を原子力規制委員会に申請し、23年11月1日に認可された。

◇「工程」着々

 原子力規制庁の職員らが出席した21日の鹿児島県原子力専門委員会では、九州電力川内原発の20年の運転延長について詰めの議論が交わされた。委員や塩田康一知事は同庁や九電の対応におおむね納得。地元の意思表示に向けた「工程」が着々と進む中、傍聴席で見守った反原発派のメンバーは「アリバイ作り」と批判した。
 規制庁職員と委員との質疑を終えた直後。専門委分科会の座長を務めた釜江克宏委員は取りまとめ役としての発言を求められ、「規制庁から分かりやすく簡潔に説明してもらった。より厳密に審査されたと感じた」と述べた。
 会終了後、地頭薗隆座長も報道陣に「規制庁も九電も丁寧に説明してくれた。委員からは多くの意見が出た」と議論の深まりを強調した。
 塩田知事が県の考えを示すための判断材料の一つと位置付けた今回の専門委。20年延長にストップをかけるような意見は出ず、県が7月に提出した要請書に対する規制庁や九電の回答も「要請に応える形」(地頭薗座長)と評価された。
 「運転延長への地ならしが進んでいる」。傍聴した市民団体「川内原発建設反対連絡協議会」の鳥原良子会長(75)は憤る。規制庁と九電の説明を含めた議論が約4時間で終了したことに触れ、「住民の命に関わる問題。もっと時間をかけてほしかった」と残念がった。
 塩田知事は12月議会の議論を踏まえ、県の考えを表明するとみられる。「川内原発30キロ圏住民ネットワーク」の高木章次代表(72)は「規制委の審査では火山や避難について全く触れられていない」と指摘。「議会では住民の立場になって議論を進めてほしい」と要望した。
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