[2022_12_06_01]原発「新増設」とは「廃炉の代替」か 自民党議連の会合で「敦賀」「美浜」の名 「新増設」の筋書きが見えてきた 自民党の提言を実現させるな!−原発の近くに住む人々をあまりにも軽視 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(たんぽぽ2022年12月6日)
 
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原発「新増設」とは「廃炉の代替」か 自民党議連の会合で「敦賀」「美浜」の名 「新増設」の筋書きが見えてきた 自民党の提言を実現させるな!−原発の近くに住む人々をあまりにも軽視 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

 11月30日、自民党の原発の建て替え(リプレース)を推進する議員連盟(脱炭素社会実現と国力維持・向上のための最新型原子力リプレース推進議員連盟)は、国会内で総会を開き、「最新型原子炉のリプレース推進・実現」に向けた提言をまとめた。建て替えを「廃炉+新増設」と定義し、電力会社が建て替えられる仕組みにするよう求める。近く政府に提出する。(朝日新聞11月30日)

◎自民党議連の「提言」とは

1.「原子力発電の最大限の活用」および「安全性を高めた新型炉のリプレース・新増設」を、国のエネルギー政策の基本方針として明確に位置付ける
2.国が前面に立って、設置変更許可を受けた既設炉の再稼働を迅速に進める
3.安全性の確保を大前提に、現在最長60年とされている既設炉の運転期間の延長を行う
4.再処理や廃炉、最終処分など、バックエンド対策の加速に向けた取組を早急に具体化していく
5.原子力発電所に対する武力攻撃等を想定し、必要な措置を講じる

 さらに、「11月21、22の両日、関西電力美浜発電所と日本原子力発電敦賀発電所を視察し現場の状況を確認した。視察の結果は議連が年内にも取りまとめる原子力発電所のリプレース実現を求める提言の策定に生かす。議連は今後、九州電力川内原子力発電所も訪れる考え。」
                    (9月26日電気新聞)

◎矛盾だらけの「廃炉+新増設」の中味

 会合では、原発建て替えは「廃炉+新増設」としていて、さらに「全く同じ場所はあり得ず」と説明している。
 敦賀、美浜、川内と具体的な名前を出したことから、現在敦賀原発1号機の廃炉が進んでいる日本原電敦賀原発の3、4号機の増設が「想定」にあると見られる。これは、既に用地取得が終わり敷地の造成もしていることから、可能性が高いと考えたのであろう。
 さらに、日本原電が東海第二と敦賀2号機の再稼働が出来たとしても、既に莫大な安全対策費用を投資しており、そのうち東海第二については東電の出資分「電気料金の前払い」により、将来の利益を先食いしてしまう(給与の前借りのようなもの)ため、再稼働をしてもほとんど利益を出すことが出来ない。そのため会社存続のために原発を増設する必要があるのだろう。
 一方、美浜原発1、2号機の廃炉が進む美浜原発では、3号機が稼働中であり、廃炉作業は、計画上でも1、2号機の建屋解体が終わるのは「2042〜2045年度」とされていて、それまでに敷地が空く状況ではない。
 敷地の「別の場所」に建てるしかないが、それほどの敷地があるとは思えない。
 議連でも既存の原発の解体撤去には長時間かかるため「全く同じ場所での建て替えはあり得ない」としている。これに大きく矛盾している。
 川内原発に至っては、1、2号機はまだ廃炉にはなっていない。20年の運転延長申請をしていることから、3、4号機の増設の動きは廃炉の前に既に始まっている。この点でも自民党議連の提言は矛盾があり、「廃炉+リプレース」は取って付けた印象が強い。

◎自民党の提言を実現させるな!−解体撤去しても元の敷地で 管理する時間が相当必要

 自民党の提言は、「廃炉+新増設」だとする。
 しかし廃炉になった後に建てる原発が、その敷地固有の特質から、自然災害などで破壊されない保証などない(浜岡や敦賀など)し、原発の廃炉に伴う廃棄物の問題も大きく、現状では解体撤去しても元の敷地で管理する時間が相当必要になるだろう。(特に使用済燃料)
 地元合意も「簡単に取れる」と思われているのならば、原発の近くに住む人々をあまりに軽視していないか。
 現存する原発の立て替えなら簡単と考えているのならば、あまりに安易で危険な発想である。
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