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[2024_12_18_10]エネ基本計画原案 MOX再処理「六ヶ所想定」 研究成果の適用検討へ 仮定重ねて議論に矛盾 原子力資料情報室・松久保事務局長(東奥日報2024年12月18日) | ![]() |
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参照元
04:00 17日に公表されたエネルギー基本計画の原案は、原発で使い終えたMOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)燃料を再処理できるよう、「研究開発の成果を六ケ所再処理工場に適用する場合を想定」した技術的な対応を検討すると初めて記述した。許認可手続きや運用の検討に必要なデータを集める。再処理工場の長期利用を前提に、核燃料サイクルを巡る懸案の一つであったMOX再処理の具体化に踏み込んだ。(加藤景子) 現在の再処理工場はMOX再処理を許可されていない。経済産業省資源エネルギー庁原子力立地・核燃料サイクル産業課の担当者は「研究開発上の想定であり、技術を確立し、許認可の見通しを立てた上で、地元におはかりする段階になる」との認識を示した。再処理工場を長期に利用するならば、MOX再処理は重要な論点であるとも述べた。 MOX再処理は、現行計画で2030年代後半をめどに技術を確立するとの目標を掲げる一方、どの施設で実施するかば白紙だった。 使用済みMOX燃料は、通常の燃料よりプルトニウムを多く含み、毒性が強く薬品に溶けにくいなどの特性がある。技術研究に向け、エネ庁は21年に日本原燃と日本原子力研究開発機構(JAEA)に事業を委託。原燃は現在も、各工程への影響評価など机上検討を継続している。23年には大手電力でつくる電気事業連合会が、実績があるフランスに燃料を送り、実用化に向けた実証研究を行うと発表した。 今回の原案は、サイクルに関する記述が従来より増え、再処理工場の完成後を見据えた内容も目立った。 再処理工場で生産されたプルトニウムの利用や工場への燃料搬入について、「事業者間の連携・調整に国が関与し、その機能を強化する枠組みを検討」するとした。将来を見通し、先行的にプルトニウムを利用する原発の調整や、どこの燃料を六ヶ所に運び込むかなどの検討に国も関わることを想定している。 「六ヶ所再処理工場の竣工遅延が続いてきた現状を真摯に受け止め、課題を一つ一つ解決することが重要」と地元への配慮をにじませる記述も。 再処理工場の長期利用に向けては「メンテナンス技術の高度化、サプライチェーン・技術の維持など、中長期での取り組みが必要な項目は官民で対応を進める」と記した。 仮定重ねて議論に矛盾 原子力資料情報室・松久保事務局長 エネルギー基本計画の原案公表を受け、NPO法人・原子力資料情報室の松久保肇事務局長は17日の本紙取材に、「操業の遅延で完成していない六ヶ所再処理工場(六ヶ所村)が50年後も動き続けていることを前提に議論が進められており、矛盾している。仮定の上に仮定を積み重ねた議論だ」と疑問の目を向けた。 六ヶ所再処理工場の運転延長を念頭に置いた「長期利用」について、「そもそも40年で3万2干トンの使用済み核燃料を再処理する前提でお金を回収し、地元住民にも『40年』と説明してきた。運転期間を延ばすとコストも増える。中間貯蔵施設(むつ市)で保管した核燃料の行き先がないから運転期間を延長するとは無責任な話」と批判した。 原発で燃やした使用済みMOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)燃料の再処理技術に関し、六ヶ所再処理工場への適用を想定した記述が新たに盛り込まれたことに、松久保氏は「新しい再処理工場をつくらないとなると六ヶ所工場で何とかするしかないが、使用済みMOX燃料の再処理には(工場の)改修が必要となり、さらにコストがかさむだろう」とみる。 「核燃料サイクルの行き詰まりが否めない状況の中、安全や安定運転の観点から、サイクルは本当にできるのかが問われないといけない」と指摘した。 (佐々木大輔) |
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KEY_WORD:エネルギー政策_:ROKKA_: | ![]() |
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