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[2025_02_19_09]≪声明≫ 第7次エネルギー基本計画の閣議決定に抗議し撤回を求めます 東電福島第一原発事故の総括を入れ、かつ「原発ゼロ」を視野に入れたエネルギー政策への転換を強く求める 英国はプルトニウムをゴミとして処分対象にした(資産ではない) 日本も対応を迫られる たんぽぽ舎(たんぽぽ2025年2月19日) | ![]() |
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参照元
04:00 ◎ 2月18日、政府は第7次エネルギー基本計画(以下、エネ基)を閣議決定しました。 東京新聞によると、パブリックコメントは過去最多となる4万1421件、その多くは「原発への不安」や「審議プロセスなどを批判」するものでした。 エネ基では2040年度の電源構成で、原発を「2割程度」としています。これは既存原発の全てに相当する33基が再稼働しなければ成立しません。 その中には、原子力規制委員会が新規性基準適合性審査で「不合格」との審査書を決定した敦賀原発2号機も含まれ、実現可能性が極めて疑わしく、数合わせの域を出ません。 ◎ 前回の第6次エネ基の策定が2021年10月で、それから4年経ちました。 日本政府はこの間、原子力政策として何をしてきたのか、その成果分析も振り返りも反省さえも、ありません。 これまで策定してきたエネ基全体に対する包括的な『行政評価・政策評価』については、十分に具体的な情報が公表されていません。 『行政評価・政策評価』がないままに、次期エネ基を決めるのは、行政決定を場当たりで繰り返し、本来の行政目的からもかけ離れていることを指摘しなければなりません。 政府は政策について責任があります。「行政の説明責任(アカウンタビリティ)を徹底すること」「効率的で質の高い行政を実現すること」「成果重視の行政への転換を図ること」これら全て市民の視点から実行しなければなりません。 ◎ エネ基には「福島への反省と教訓」と書かれていますが、原子力政策には、その具体的な反省内容や、事故から得られた教訓を政策にどう活かすのかが明示されていません。 東電福島第一原発事故後に示された「原発依存度を可能な限り低減する」との国民への約束も反故にされ、むしろ原発回帰とも取れる方針転換が進められています。 福島県民をはじめ、多くの国民が今なお放射能被害や避難生活に苦しむ中で、国は事故の責任も十分に果たさないまま、原子力政策推進を既定路線とし、再稼働・新増設・運転延長を進めています。このような姿勢は、「福島への反省と教訓」を単なるスローガンに貶めてしまうものです。 ◎ 第4次から第6次エネ基では「可能な限り原発依存度を低減する」との記述がありましたが削除されました。これにより危険な原発への依存増大だけでなく、核燃料サイクル政策を推進し、多くの使用済燃料や高レベル放射性廃棄物が増えることになります。また、新型炉の開発予算にも無駄に税金が使われることになります。 東電福島第一原発事故の被災者への補償、賠償責任も果たしていないのに、原子力推進に大転換したことは許せません。 原子力により命を奪われ、健康を害し、生業を奪われた多くの人々に、原子力を再度進めて良いか、聞いてみたら良いのです。誰が「どうぞ進めてください」と言うでしょうか。 ◎ 東電福島第一原発事故以降、10年以上にわたり「可能な限り原発依存度を低減する」との方針でしたが、どのように取り組んできたのか全く分かりません。 原発依存度を低減する政策では、再処理こそ最初に終了しなければならない事業です。原発依存度を下げるのだから原発基数が減っていきます。プルトニウムを燃やす原発も減ることになり、いずれはなくなります。分離プルトニウムを増やす再処理政策などできるはずがありません。既に溜まっている使用済核燃料とプルトニウムをどうするのか議論を進める必要がありました。 ところが国は、こうした対応を全くしなかったばかりか、むしろエネ基には「原発依存の低減」に逆行する政策ばかりが並んでいたのです。 つまり「ウソ」で塗り固めたエネ基だったのです。 一国の基幹政策が「ウソとごまかし」で作られている国。 それが日本です。 第7次エネ基では、開き直ったように原発新増設、再処理工場とMOX工場を「必ず成し遂げるべき重要課題であり、同工場の竣工に向け、審査対応の進捗管理や必要な人材確保などについて、官民一体で責任を持って取り組む」と記載しています。 ◎ 一方、日本よりも遙かに早くから再処理政策を推進していた英国。 使用済核燃料を再処理し、プルトニウムを取り出して利用するとの方針の元で、長年にわたり再処理事業を進めてきました。フランスと共に海外再処理事業により外貨も稼いできました。 しかしすでに2018年にTHORP再処理工場が、2022年にマグノックス炉用の再処理工場が、それぞれ操業終了しており、その結果生じたプルトニウム在庫をどうするかについて2025年1月24日、地層処分するという方針を明らかにしました。 英国のプルトニウムが最終処分対象になったことで、英国にある日本の分離プルトニウム約21.7トンをどうするのか、深刻な問題に直面しています。 考え得る可能性は次の三つです。 1.英国から日本にプルトニウムのまま輸送し (以前実行して大問題になった)建設中のMOX燃料加工工場で燃料にして燃やす。 2.英国からフランスに運んでMOX燃料に加工し日本に輸送する。 〔フランスのMOX燃料工場(メロックス工場)は、現在も操業していますが、日本向けの加工についてすぐに受け入れられるかは不透明〕 3.英国の永久処分に合わせて処分を委託する(ただし、英国政府が日本のプルトニウムを受け入れる意思を示した事実は現時点では確認されていません)。 いずれも国際問題を引き起こすなど多くの問題を持っています。 第7次エネ基は英国が経験した現実を20年以上も遡って辿ろうとしているかのようです。 ◎ 私たちは、第7次エネルギー基本計画の閣議決定に強く抗議し、撤回を求めます。 そして、原子力政策を白紙に戻し、東電福島第一原発事故の真摯な総括と「原発ゼロ」を視野に入れた持続可能なエネルギー政策への転換を強く求めます。 |
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KEY_WORD:エネルギー政策_:FUKU1_:ROKKA_:TSURUGA_:岸田首相_次世代-原発_検討指示_: | ![]() |
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