[2018_03_20_05]「おかしい判決」 涙 原告団の熊谷さん 函館市長「大変残念」(東奥日報2018年3月20日)
 
 大間原発建設差し止め請求を棄却した19日の函館地裁判決を受け、炉心予定地そばの所有地を電源開発(Jパワー)に売らなかった熊谷あさ子さん(2006年死去)の長女で原告団の厚子さん(60)=大間町=は地裁前で「本当におかしい判決で残念だ」と涙ながらに訴えた。
 「どこもやったことがない(プルトニウムとウランの混合酸化物MOX燃料を全炉心で使う)フルMOXを、初めて扱う会社がボタンを押すんですよ初めてづくしなのに」。熊谷さんは「建設途中だからこそ見直せる。戻れなくなったら誰が責任取るんですか」と声を震わせた。
 地裁には同町の住民グループ「大間原発に反対する会」事務局長の奥本征雄さん(72)や佐藤亮一さんらも駆け付けた。奥本さんは取材に「原発建設の是非で親戚などの人間関係も壊れてしまう。目の前で見てきた。人間関係が壊れたらなかなか戻れない」と肩を落とした。
 熊谷さんら原告団は同日午後、函館市の函館パークホテルで記者会見を開いた。
 同市の市民団体「大間原発訴訟の会」代表の竹田とし子さん(69)は「期待していた分、どん底に突き落とされたような残念な判決。何年もかかつて主張してきたことが最後の最後にこれしか言えないのか」と悔しさをぷちまけた。
 大間原発建設差し止め訴訟弁護団の共同代表河合弘之弁護士「遺憾という以外言いようがない。肩すかしで、無内容なつまらない判決。ひるむことなく、追い詰めていく決意を固めている」と述べた。(下館悠々)

 函館市長「大変残念」

 大間原発の建設差し止め請求を棄却した函館地裁判決を受け、北海道函館市の工藤寿樹市長は19日、「住民側の勝訴を期持していた。大変残念」とのコメントを出した。この訴訟とは別に、同市は2014年に大間原発の建設中止を求める訴訟を東京地裁に起こしており、工藤市長は「今回の判決が直換的な影響を及ぼすとは思わないが、今後も裁判に全力で取り組んでいきたい」とした。
KEY_WORD:OOMA_: