[2022_11_29_01]世界一危険な工場 青森県六ケ所村の「核燃料再処理工場」 鎌田慧(ルポライター)(東京新聞2022年11月29日)
 
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世界一危険な工場 青森県六ケ所村の「核燃料再処理工場」 鎌田慧(ルポライター)

 先週の土曜日、大阪で 「原発・核燃からの撤退を!」関西集会があった。「ストップ・ザ・もんじゅ」など80以上の市民団体が賛同じて、300人近くが集まった。
 高速増殖炉「もんじゅ」 が廃炉の道となって、ウランとプルトニウムを核施設にぐるぐる回す「核燃料サイクル」の夢は、幻影となった。
 「もんじゅ」を廃炉に追い込んだ関西で、本州の最果て、青森県六ケ所村の「核燃料再処理工場」稼働に反対する集会がひらかれたことは嬉(うれ)しい、とわたしは発言した。
 六ケ所村は1969年から取材してきた。
 再処理工場が着工されたのは 1993年4月だった。が、 試運転中の2009年、高レベル放射性廃液をガラス原料とともに溶解させ、固化体にする最終工程で何度か漏洩事故を起こして、運転停止。
 現在に至るまで13年間も止まったままだ。
 さらにこの7月、沸騰あるいは蒸発し凝固すれば爆発する、タンク内の放射性廃液を冷却するパイプを閉める誤作業が発生した。
 弁を閉じて8時間気がつかなかった。
 着工からすでに29年、毎年のように「来年は完成する」と発表してきた。
 さらに着工のあと、近くに活断層が発見された。
 運転開始の見通しはない。それでも会社は黒字。
 わたしたちの電気料金が経営を支えている。もんじゅに続けて廃棄にしよう、とわたしは発言した。
 (11月29日「東京新聞」朝刊25面「本音のコラム」より)
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