[2021_08_11_04]関西電力美浜3号機再稼働に抗議 (下)(了) 誰も責任を取れない「原発破局事故」 老朽原発の運転は過酷事故リスクをさらに高める 40年超えの老朽原発…高浜1、2号機、美浜3号機、東海第二原発を廃炉に追い込もう 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(たんぽぽ舎2021年8月11日)
 
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関西電力美浜3号機再稼働に抗議 (下)(了) 誰も責任を取れない「原発破局事故」 老朽原発の運転は過酷事故リスクをさらに高める 40年超えの老朽原発…高浜1、2号機、美浜3号機、東海第二原発を廃炉に追い込もう 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

4.防災対策による防護も放棄「第5層」

 「世界で最も厳しいレベルの規制基準」ならば、IAEAの安全対策「第5層」についても規制基準に取り込み、規制委員会が責任を持って審査するはずだろう。しかし原子力防災対策は自治体に丸投げされた。30km圏内の自治体でさえ、現在まともな計画は作れていない。
 この点、国は、原子力規制委員会が原子力防災指針を策定し、中央防災会議(内閣総理大臣が長)で、原子力規制委員長も出席し認可しているから責任を負っているという。
 しかし防災計画を作るのは自治体であり、責任者は自治体の長であることに変わりはない。
 米国では原子力規制委員会が自治体と事業者に防災計画の策定を義務づけている。実行性が無い計画ならば原発の運転認可が下りない。
 実際に計画に実行性がなく、完成したのに運転できず廃炉になったニューヨーク州ショアハム原発は、事業者の策定した計画では事故の際に安全に避難することが出来ないことを規制当局も認め、住民の負担で運転せずに廃炉処理されることになった。
 日本に比べて人口密度が低く車社会である米国でさえ、住民の安全対策に規制当局も責任を負っているから、住民の安全を守れない原発は認可されない。
 これだけみても、日本の規制基準は米国以下であることは論を待たない。
 原子力防災・住民避難計画については、自治体丸投げを止めて国も責任を負うように、災害対策基本法を改正する必要がある。
 また、30km圏内の避難対策に実効性がない場合は、運転認可が出せないように規制委員会設置法も改正すべきだ。少なくても米国並みに緊急時の原子力防災・住民避難計画が、すべての規制対象の基本になるべきであり、それが達成されるまで再稼働の議論そのものも出来ないはずなのだ。
 また、30km圏内の自治体が認めなければ原発の運転が出来ないように法改正をすべきである。それが民主主義の基本である。

5.原発を動かして赤字になる電力会社

 関西電力を含めて全電力は「原発を稼働させなければ赤字になる」などと主張するが、本当の理由は電気を生まない原発に巨額の投資を続けながら、代替の火力発電を続けるからだ。それで赤字になるのは当たり前である。
 九州、関西のように発電設備に占める原発の比率が高い電力ほど経営実態が厳しくなるのは、小学生にも分かる理屈である。
 それなのに原発に資金をつぎ込み続ける行為は、そもそも経営者として失格であり、そんなことにまで消費者が「電力料金」で負担させられる謂われなどない。全く本末転倒であり、電力の経営が厳しいから再稼働など、最初から理由にならない。
 また、原発が動き出しても電力の経営は好転しない。なぜならば、関西電力でたかだか82.6万kwの設備が1基動く程度では、焼け石に水だからだ。
 関西電力は設備全体で3000万kwほどを今季最大電力と見積もっている。
 美浜原発3号機は3%弱に過ぎず、発電コストを引き下げる効果は、ほとんど無い。売上は2018年から年々低下を続ける中で、つまり電気料金収入が減少し続ける中で、美浜、高浜原発など老朽原発に係る設備投資が増え続ける一方ならば、動かし続けていても経営状態を改善する効果はない。
 それでも原発に固執し続ける背景には、経済界や国からの大きな圧力があるからだ。

6.これからも原発の停止を訴え続けよう

 原発を動かしても電力会社にとっては経営難の状態は変わらない。
 これからは、ひとたび事故が起きれば経営者の個人責任も厳しく追及される時代になる。
 東電取締役3名の業務上過失致死傷罪での強制起訴は、次の事故では直ちに起訴される可能性があることを示している。
 これは電力会社の取締役個々人の判断にも大きな影響を与える。
 また、首相官邸、国会前に集まる人々が今も続いていることは重要だ。「経産省前テントひろば」も頑張っている。
 世論調査はどれをみても、過半数を超える声が「原発ゼロ」を支持している。
 福島の被災者(被害者)は、自分たちを置き去りに進められた原発再起動に強い怒りを表明している。
 今後、再稼働で事故の脅威にさらされる人たちからも、怒りの訴えが続いている。
 国、電力、経産省、規制委員会等にぶつけて原発災害を案ずる必要の無い日々を作るために努力を続ける必要がある。
 40年超えの老朽原発、高浜1、2号機、美浜3号機、東海第二原発を廃炉に追い込もう。
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