[2023_12_20_07]柏崎刈羽原発、27日に「運転禁止」解除へ 「落第からようやく合格ラインに」と東電社長に告げた原子力規制委の考えとは(東京新聞2023年12月20日)
 
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柏崎刈羽原発、27日に「運転禁止」解除へ 「落第からようやく合格ラインに」と東電社長に告げた原子力規制委の考えとは

 12時00分
 原子力規制委員会は20日の定例会合で、テロ対策の不備で事実上の運転禁止を命じている東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)について、東電の小早川智明社長を呼び、再発防止の取り組みなどについて聴取した。規制委は判断材料がそろったとして、27日の定例会合で運転禁止命令の解除を正式に決める。
 小早川社長は、テロ対策の不備に対する再発防止や、継続的に改善していく仕組みが整ったと説明。「私自身が率先して地域の皆さまに取り組みを伝え、説明責任を果たしていきたい」と決意を述べた。
 伴信彦委員は「仮に命令解除になったとしても、東電が生まれ変われたと認定したわけではない。落第した東電がようやく合格ラインに達した。評定は『優』ではなく『可』です」とくぎを刺した。
 山中伸介委員長は「福島への責任が第一であることを忘れないでほしい」と注文した。
 聴取後に委員5人で議論。小早川社長の説明に不足はないとして、27日の定例会合で最終的に判断することを決定した。

 ◆検査中も相次いだ不備、違反

 柏崎刈羽原発では、2021年1月以降、東電社員によるIDカードの不正利用や、侵入検知装置が多数壊れた上に代わりの対策も不十分なまま放置したテロ対策の不備が相次いで発覚。規制委はこの年の4月に核燃料の移動禁止を命じ、東電の再発防止策に対する検査を続けてきた。
 しかし、規制委の検査中も東電のテロ対策不備は相次いだ。2022年6月には監視用の照明設備が非常用電源に接続されていなかったことが発覚。これを是正したものの、翌年の2023年6月に別の照明設備に電源が接続されていないことが発覚した。
 ほかにも、手荷物検査が不十分で未許可の携帯電話やスマートフォンが持ち込まれた違反が、2023年1月以降で少なくとも3回起きた。今から2カ月まえの2023年10月には、薬物検査で陽性反応が出た社員を防護が必要な区域に一時入域させるなど、違反は後を絶たない。

 ◆規制委は「影響は軽微」と判断

 規制委はこれらの違反について、いずれも「影響は軽微」として再発防止策の検査には影響しないと判断。今月(2023年12月)6日の定例会合で、すべての再発防止策は妥当とする事務局の検査報告を大筋で了承した。
 柏崎刈羽原発の新規制基準適合性審査では、東電が2013年に6、7号機の審査を規制委に申請。規制委は東電が福島第1原発事故の当事者であることを考慮し、東電に原発を運転する適格性があるかも確かめた。2017年9月に「適格性がある」と判断し、その上で同年12月に事故対策が新規制基準に適合するとの審査書を決定した。
 再稼働するには新潟県などの立地自治体の同意が必要。花角英世知事は同意の是非を巡って「県民の信を問う」と述べている。
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