[2023_05_24_01]「東電以外の選択肢」柏崎市長が初言及 原発書類持ち出しは「衝撃」(毎日新聞2023年5月24日)
 
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「東電以外の選択肢」柏崎市長が初言及 原発書類持ち出しは「衝撃」

 東京電力社員が柏崎刈羽原発6号機の安全対策工事に関する書類を紛失した問題で、新潟県柏崎市の桜井雅浩市長は23日、報道機関の取材に対し「(人的ミスを防止する)システムや組織が機能せず、社員が許可なく書類を持ち出していたのは衝撃だった」と述べた。再稼働を担う組織として「東京電力に代わる組織」と初めて言及した。【内藤陽】
 東電は22日、同社社員が6号機の火災防護や浸水対策についての書類80枚を封筒に入れて自宅に持ち帰り、紛失したと発表。テレワークのために上司の許可を得ずに持ち出し、紛失に気づいても報告していなかったという。
 桜井市長は東電について「あまりにもお粗末な、むなしい事態だ」と痛烈に批判。原発再稼働を容認する立場だが、繰り返される不祥事にがっくりと肩を落とした。
 東電では、昨年7月にも同社社員がテロ対策情報を責任者に無断で自宅に持ち帰っていた。このときは社員が責任者の許可を得るのを「失念した」と説明。東電は再発防止のためシステムを改善し、社員教育も行ったはずだった。今回はテロ対策情報ではないが、桜井市長は人的ミスを防止するための「システムや組織が機能していない」と指摘した。
 東電社員のID不正使用やテロ対策設備の不備など、東電の不始末が相次ぐ事態に、桜井市長は「(自分は)長年東電の存在価値を認め、再稼働の意義を認めてきた」と前置きした上で、「事ここに至り、東京電力に代わる組織はどこになるのだろうか、あるのだろうかと自問自答し始めた」と述べた。桜井市長が原発事業者として「東電以外の選択肢」に言及したのは初めて。他の自治体の首長や政党からは、すでに東電以外の原発事業者を求める声が上がっている。
 また今回の紛失について、原子力規制事務所の渡辺健一所長は23日の定例記者会見で、「文書管理上の問題があったのは明らかで、それに加えて問題があったと考えている」と述べ、東電の初動や事後対応を含め事実関係を確認していく考えを示した。
 規制事務所は21日夜に東電から書類紛失の連絡を受け、22日に紛失した書類80枚の内容を1枚ずつ確認。渡辺所長は「テロ対策や重要な設備情報は含まれておらずよかった」と話した。17日の原子力規制委員会では東電のテロ対策に関する意識調査が示され、「東電社員の意識は高いレベルを維持」と評価されていた。渡辺所長は「末端の社員にまでまだ意識が十分浸透していなかったのかもしれない」と話した。
 書類紛失後の東電の対応に、渡辺所長は「問題があると考えている。意識だけの問題なのか、コミュニケーションを含めたルールの問題なのか、しっかり確認したい」と述べた。
 また東電は、紛失した書類のうち79枚を回収したと発表。紛失した社員とは別の社員が回収したといい、担当者は「あと1枚です」と話した。
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