[2015_09_12_01]海抜15メートルに津波跡 東通原発10キロ北に堆積物 砂丘で確認、東北大 (東奥日報2015年9月12日)
 東北電力東通原発(東通村)から約10キロ北の砂丘に、過去の津波の痕跡とみられる地層を海抜10〜15メートルの高さで2カ所発見したと、東北大の研究チームが11日、長野市で開催の日本地質学会で発表した。
 東北電は同原発で海抜11・7メートルの津波を想定し、同16メートルの防潮提を建設しているが、想定を上回る高さの津波が来ていた可能性がある。今後の原子力規制委員会の審査での議論も予想され、東北電の想定の再検討が求められることもありそうだ。
 東北電は「詳細を承知していないので、コメントは差し控えたい」としている。
 研究チームの菅原大助助教(地質学)によると、津波の痕跡が疑われる堆積物が見つかったのは、下北半島の太平洋岸に沿って位置する「猿ケ森砂丘」(東通村)。箕浦幸治同大名誉教授と菅原さんらは、海岸から1キロ以上陸側に入った地点で、津波で運ばれた泥や砂が堆積してできたとみられる地層を2カ所確認した。1カ所は2000〜1500年前にできた砂丘の真下の地中にあり海抜約10メートル。もう1カ所は800〜500年前の砂丘の真下の地中で海抜約15メートルだった。それぞれ砂丘の形成と近い時期の津波で別々に運ばれた可能性がある。
 これまでに知られている大津波との関係は不明。東北電の想定とは地形や海岸からの距離など条件が異なるため、直接の比較が難しい面もある。管原助教は「津波の発生時期や砂丘の形成との関係を、さらに調査する必要がある」としている。
 16メートルの防潮堤は11・7メートルの津波に設計上の余裕を持って備える狙い。想定を上回る津波に対しては余裕が失われる恐れがある。
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